乳腺炎で悩む女性が有名母乳相談室で体験した、壮絶な「母乳マウンティング」

「『あなたの母乳は冷たくてまずいから、赤ちゃんが飲まないんだ』と言われ、帰り道で涙がこぼれてしまいました」

 30代の主婦Oさんが、〈桶谷(おけたに)式母乳相談室〉を訪れたときの体験談です。Oさんは昨年冬に男児を出産。その後母乳とミルクで子どもを育てていましたが、子どもが3カ月になる頃、乳腺炎を患い、たまたま見つけた〈桶屋式母乳相談室〉へ駆け込んだのだとか。

Oさん(以下O)「出産でお世話になった病院にも乳腺外来はありましたが、触れるだけでも痛い状態の胸で3カ月の乳児と荷物を抱え、電車に乗るのはなかなかハードルが高くて。自宅から一番近いという理由だけで、桶谷式を謳う相談室なるとことろへ駆け込んだんです」

 桶谷式とは〈桶谷式乳房管理法〉という名称で、〈痛くない乳房ケア〉を謳う手技のこと。創立者は、第2次世界大戦中の満州で助産師活動をしていた桶谷そとみ氏。戦時中の栄養不足から母乳が出ず、命を失う赤ちゃんをたくさん見てきたという経験から、お母さんたちの母乳を出すための独自のマッサージを確立したといいます。

 世のママたちを困らせる「人間は哺乳類なんだから、必ず出る」「母親の食べるもので母乳の味が変わる」というお説は、おそらく桶谷式も源流のひとつ。代替品など手にはいらない戦時中の満州で子どもを育てるには、根性論で乗りきらねばならない場面もあったでしょう。でも、今の時代にそのエッセンスを残す必要ってあるのかな~と、思わせる要素満載の、ぶっちゃけクラシカルな母乳育児法です。

まずい母乳、おいしい母乳?

 Oさんが母乳相談室へ駆け込み、まずはじめに驚いたのは〈全身白づくめ〉という施術者の出で立ちと、室内の汚さだったそう。

O「アパートの一室にある相談室に入ると、出てきたのは、全身白づくめの貫禄漂う中年女性。思わず、猫にまで白い布を巻いていた某宗教団体……パナウェーブでしたっけ、それを思い出してしまいました。そして、ぶっきらぼうな対応や、雑然として古く汚い印象の室内の居心地の悪さも加わり、入った瞬間すでに失敗という言葉が頭に浮かびました。施術は背中が痛くなるレベルの硬いベッドに横たわり乳房のマッサージがはじまるんですが、マッサージ中に母乳が吹き出て施術者の手にも自分の顔にもかかるんですよ。そこでまず、『ほら‼ 冷たいのよ! 色も黄色くて、まずい! こんなおっぱいだから、赤ちゃんが飲まない』。だから乳腺が詰まる、というんです」

 出口周辺にたまっていた母乳は、〈今わきたて!〉という状態と比べればわずかにぬるいのかもしれませんが、体内にあったものがそこまで冷たいのか~!? 相談室の助産師(施術者)によって対応にバラつきがあるというのはよく言われることですが、納得しにくいお説を押し付けないよう、認定時に統一したほうがいいのでは。

O「で、マッサージしていると後半に出てくる母乳は作られたてだから、開始直後よりはほんのわずか温かいような気がする。すると、ドヤ顔で『ほら、これがおいしい母乳なのよ!』と」

帰り道、涙が…

 単純に「自分で少し絞ってから飲ませると、赤ちゃんがよく飲んでくれますよ~」程度の説明じゃいけないんですかねえ。わざわざ「まずい!」とママを貶めるパフォーマンスの意義がよくわかりません。まるで、母乳マウンティング。

 しかも赤ちゃんが、ほんのわずかな温度差で「まずい!」と拒否するという話。それが本当なら、常温で飲ませる〈液体ミルク〉を与えられたらどうなるのか。「女将を呼べ!」と激怒する海原雄山のごとく、取りつく島もなくなるのでは?

 また、〈乳腺炎になったから母乳がまずくなり赤ちゃんが飲まない〉のか、〈母乳がまずくて赤ちゃんが飲まず、乳が溜まって乳腺炎になったのか〉、まるでタマゴが先かニワトリが先かという話を聞いているような錯覚が……。

O「ほかには『小麦粉禁止』『南のものは体が冷える」などの一部で有名な食事指導や、『あなたはがんばれば母乳だけでいけるはずだから、そうするべき!』とも強く言われましたね。生活サイクル的に必要だから粉ミルクも使っているのですけど、頭ごなしに母乳こそが正義! って感じで、とても疲れました」

 お母さんと赤ちゃんのための相談室というより、母乳教のための母乳指導? 母乳育児の魅力を伝えるどころかネガティブな印象にしてしまっては、商売あがったりになりそうですけど。

 そして疲れきったOさんにさらに追い打ちをかけるのは、施術後に授乳していたときのこと。

O「うちの子、げっぷが下手なんですよね。そこへ早く帰りたいという焦りもあり、授乳が終わった子どもの背中をちょっと強めにトントンしていたんです。そうしたら、次の人を施術していたその助産師が手を止めてすっ飛んできて、『そんなに強く叩かなくていいッ!』と大声で怒鳴るんです。母乳がまずいとけなされるわ怒鳴られるわで、不覚にも帰り道泣いてしまいました」

 その相談室へは、二度と行くまいと決心。しかし翌週に再び痛みが出てきたので、次はタクシーで気軽に行かれる距離の、別の桶谷式母乳相談所へ足を運ぶことに。なぜまた桶谷へ? というツッコミは横に置いておきましょう。

O「次の相談所はHPもあり、とてもきれいな店内でした。1回目の相談所でのことを訴えたからか初回は丁寧でやさしい対応でしたね。ところが2回目の施術で、また違和感が。おっぱいの詰まりが、あまり改善されてなかったんですよ。すると『言いつけを破って、ケーキとか甘いものを食べたでしょう!』と」

母乳最高! という価値観

O「『いえ、言われたとおり魚と野菜しか食べてません!』と答えると『おかしいわね……じゃあ、体を冷やす服装をしているからよ!』と、なぜか決めつけ(笑)。私はいつもボトムはロング丈のパンツですし靴下も履いているし、肩を出しているわけでもないし、ごくごくノーマルな服装なんですけど」

 あらゆる不調を〈冷え〉のせいにするのって、大変お手軽な対応という印象。「冷え」「愛情不足」「便利なものに頼りすぎ」は、これを繰り出せばとりあえずママたちの罪悪感を刺激しつつ、それっぽく説教できる定番の便利ワードになるつつあるのでは。

 その母乳相談室も前回と同様、マンションの1室。自分の前後に来店しているお母さんと施術者のやりとりが筒抜け状態で、そこで見た次のようなやりとりもなかなかのパンチがあったと話すOさん。

O「順番を待っている間に見たのは、〈今スグ断乳したい〉という女性です。保育園も始まるし、自分的にも体力の限界なので、もう明日にでも授乳をやめたいと訴えている話が聞こえてきました。ところが施術者は『いつくらいが目安?』とトンチンカンな対応。今すぐって言ってなかったっけ?」

ほかに適切な相談室があれば

O「その女性が改めて『だから、明日にでも!』と言うと、ありえないという勢いで『ええええ!?』とのけぞっていました。乳房管理的に無理があるというニュアンスではなく、『こんなに出てるのにもったいない』という感じ。そして『やめる前に、授乳している写真を撮っておきなさい!』とか、乳房管理とは別問題だろうという指導へ。授乳写真……私ならちょと無理です(笑)」

 結局マッサージを受けると一時的に楽にはなるものの、母乳最高教のような価値観と、根拠のよくわからない食事指導が苦手で、Oさんはその後、〈桶谷式〉には一切近寄らないようになったそう。

 現在は順調に離乳食も進み、乳房が痛くなりそうなときは〈積極的に母乳を飲ませる〉という方法で乗りきっているとのこと。しかし桶谷式に不信感を持ちながらも、通っていたときは指導された「キャベツ湿布」※を律儀に続けていたというのですから、Oさんの真面目なお人柄がにじみ出ています。

 ネット上にも〈桶谷式〉のアレな評判は多々あり、それらを目にするたびに、母乳育児の周りに漂う〈手間暇かける、ていねいな育児こそが愛情〉という呪いの存在を実感します。

「民間療法的なものに頼るからそうなるのでは?」という疑問もありますが、一般的な乳腺炎の治療は抗生剤を使うため、医師によっては一時的に授乳を禁止される場合も。それを避けようとすると、母乳マッサージの有名どころ=桶谷という流れになりがちだという話でした。Oさんも「桶谷以外に、もっと気軽に行かれる母乳相談室があればいいのに」と、こぼしています。

時代に合わせた、母乳指導を!

O「その手の情報を集めたいと思ったとき、失礼ながらとにかく役に立たないのが区の保健師なんですよね。評判のいい母乳マッサージを教えてくれと言っても、『ここがいいとか勧められないんです』とか、やたら遠い場所の施設をアナウンスされたり。子どもの発語が遅いことを相談したときも、『片言で話してください』ですって。ワンワンとかブーブーとか、赤ちゃん言葉を交えてとかならまだ理解できますが、片言って~!?」

〈区の保健師の情報が微妙問題〉は、実は私も激しく同意。わが家の場合は「ここの保育園ならお母さんがフリーランスでも預かってくれますよ!※※」と保健師に教えられた認可外保育園を見学してみると、大家族番組で見かけるカオスな情景をさらに煮詰めたような環境劣悪保育園。二度と保健師にアドバイスを求めるまい……と固く誓いました。

※※特に認可保育園の場合、在宅仕事のフリーランスは入園選考で不利になるケースが多い。

 母乳トラブルは一過性で専門家も少なく、情報も偏ったものになりがちです。試行錯誤した結果を世のお母さんのために! というお気持ちは素晴らしいのですが、その情熱を「現代に合わせてアップデート」することにも傾けてほしいと思った体験談でありました。

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