ドラマレビュー

『西郷どん』鈴木亮平が、近年の大河ドラマ主演らしからぬワケ

近年の大河らしくない、男らしい肉体の鈴木

 その魅力が一番伝わってくるのはオープニング映像だ。

 おそらく薩摩(鹿児島)の日差しを意識して画面の明るさを強くしているのだろうが、近年稀に見るダイナミックな迫力だ。『龍馬伝』(2010)以降、大河ドラマはアーティスティックな映像を求めて、あえて画面の彩度を落としたくすんだ映像を用いることが多く、その作り込み方が年々進化しているものの、作品としては若干見づらくなっていた。

 対して本作のアプローチは、明快な色使いの力強いものとなっており、シンプルで確かな迫力を持った『西郷どん』と西郷隆盛の魅力を見事に表現している。

 この作品の鈴木を見ていると、男の肉体、特に肌はとても美しいのだ、という作り手の主張が伝わってくる。それが最も現れていたのは、島津斉彬が新しい藩主になったことを記念して行った御前相撲の様子を描いた第5回「相撲じゃ!相撲じゃ!」。鹿児島の強い日差しに照らされる男たちの肌の色味を、本当に綺麗に見せていた。

 鈴木が最初に注目されたのは、映画『HK変態仮面』(13)。股間と顔以外は丸出しのヒーローになりきるために、15キロ増量をした後に体を鍛えて体脂肪を減らすことで、鈴木はしなやかで美しい筋肉を作り上げた。役になりきるために体から変える(俳優のロバート・デ・ニーロの名前から取られた)デ・ニーロ・アプローチを愚直に実践している俳優で、連続ドラマ『天皇の料理番』(TBS系、15)では20キロ減量し、病気でやせ細っていく痛々しい姿を見せたかと思うと、映画『俺物語!!』(同)では、30キロ増量し、巨漢の主人公を演じている。

 とにかく、演じる役柄ごとに体重が増減し、外見がガラッと変わる。今作でも西郷を演じるに当たって、体重を増量して今まで以上に体を鍛えたことで、大男の風格を見事に体現した。

 それにしても『西郷どん』の鈴木を見るまでは、こういう男臭いヒーロー像が成立するとは思わなかった。

 16年の『真田丸』で堺雅人が演じた真田信繁(幸村)にしても、昨年の『おんな城主直虎』で高橋一生が演じて反響を巻き起こした小野但馬守政次にしても、近年の大河ドラマの中心にいるのは線の細い知性派の男たちだ。

 それこそ、『翔ぶが如く』(1990)で西郷隆盛を演じ、本作でナレーションを担当する西田敏行や、『独眼竜政宗』(87)で伊達政宗を演じ、本作で島津斉彬を演じている渡辺謙までさかのぼらないと出てこない、肉体性を感じさせる主人公ではないかと思う。もしかしたら、瑛太が演じる大久保利通を主役にした方が、現代性があったのかもしれない。しかし、本作はあえて西郷隆盛という昔ながらの日本的な英雄像を打ち出している。

 このアプローチが現代に通じるのかはまだわからないが、中園がうまいのは、西郷と大久保たちの間に見え隠れする男の友情に宿る“ほのかな色気”を、隠し味として用いていることだ。

 放送前に中園ミホが、『西郷どん』には男性同士の恋愛を描くBL(ボーイズラブ)の要素があると言ったことが物議を醸したが、確かに西郷を中心とした男たちの交流は、篤姫たちヒロインとの関係以上に濃密で魅力がある。 

 心身ともに西郷になりきった鈴木の肉体美もさることながら、BL的なものを経由することで日本的な英雄をどう現代に蘇らすのか、とても楽しみである。
(成馬零一)

デ・ニーロ・アプローチの先駆者はニッキなんだけどね!

しぃちゃん

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