カルチャー
大妻女子大学准教授・田中東子先生インタビュー【後編】

「壇蜜の宮城PR動画」「サントリー頂」他、“性差別”CMの問題は「演出ではなく構造」? 

2018/01/03 17:00

『だんなデス・ノート ~夫の「死」を願う妻たちの叫び~』(宝島社)

――ちなみに17年は、CMだけでなく、書籍に対しても「男性差別だ」といった声が上がっていました。夫の死を願う妻たちの本音がつづられた投稿サイト「だんなデスノート」が『だんなデス・ノート ~夫の「死」を願う妻たちの叫び~』(宝島社)として書籍化されたのですが、妻たちが夫をボロクソに罵倒する内容が物議を醸しています。

田中 私としては、“日本の家庭内における男女間での権力格差”によって出てきてしまった本なのかなと思っています。なぜ『つまデス・ノート』ではないかというと、妻に抑圧されている夫より、夫に抑圧されている妻の方が圧倒的に多いからかなぁと。この妻たちは、好きこのんでこんなことを言うようになったわけではないと思うんですよ。夫にDVや不倫をされ、しかも表立って意見を言うこともできず、こういった表現でしか訴えられなかったのでは……と。

 『だんなデス・ノート』は、「ENEOSでんき」「保険のビュッフェ」のCMのように、あきらかに改善されるべき男性差別と同列で並べるのは違うと感じます。サイトの片隅に投稿された、夫に抑圧された妻たちの叫びが、書籍となったことで目をつけられたというか。仮に妻に抑圧された夫たちの叫びが出てきたとしても、女性差別には当たらないと思います。出版されたことによって、夫に抑圧されている妻がこんなにいっぱいいるんだ……という事実が目に見える形となり、では「何を変えていく必要があるのか?」を考える対話のきっかけになるのであれば、それは意味があるのではないかと感じますね。

■もはや日本社会は一色じゃない

――今後、性差別CMがなくなるためには、どうしたらいいのでしょうか?

田中 先ほども言ったように、社会やメディア環境の変化にもっと敏感になるべき。もちろんそれを察知して、いいCMを作っている人もいっぱいいますけどね。女性差別はダメだけど、男性差別はOKという安直な方向にも行かないようにしてもらいたいです。

 P&Gが「家事分担をJOBからJOYへプロジェクト」の特設サイトに公開した動画「ふたりでわけあうもの」は、妻ばかりに家事の負担をかけていた状況から、「2人で一緒に家事をしよう」と考え直す夫婦の様子が描かれている内容で、好評を博しました。しかし、これを見たLGBTの人や、シングルの人は、「ウッ」と思うかもしれないです。スウェーデンの自動車メーカーVolvoの CMには、男女カップルだけでなく、ゲイカップルも登場しているそうです。それくらい現実の社会は、多様化しているし、それを反映したCMも制作されているんです。もはや日本社会も一色じゃない、それを踏まえて広告を制作していくべきだと思っています。

最終更新:2018/01/03 17:00
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