テレビ業界で働く女性放送作家座談会(前編)

テレビ業界の異常なセクハラ、年収1000万円作家のウラ側……「女性放送作家」座談会

2017/12/23 19:00

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 「放送作家」――耳にしたことはあるけれど、具体的に何をしているかわからないという人は多いのではないでしょうか? 簡単に言ってしまうと、放送作家とはテレビやラジオなどの番組制作における「企画」や「構成」を考える人々のこと。今回は、まだまだ男性社会であるテレビ業界の中でしっかりと生き抜く“女性放送作家”にスポットをあて、業界でのやりがいや苦労、結婚・妊娠・出産まで、女性だからこそ抱える問題に迫りました!

<座談会出席者>
A:制作会社勤務ののち、独立してフリーランスに。30代、1児の母。
B:出席者の中で唯一の事務所所属作家。現在妊娠中の30代。
C:広告会社のライターを経て業界に入りまだ1年目。20代の新参者。

 「いつセックスさせてくれるの?」業界で飛び交うセクハラ発言

――今日の座談会は、「テレビ業界でのセクハラ」をメインに語っていただければと思います。さまざまな立場の女性放送作家さん3名にお集まりいただきました。女性の作家さんは、業界でどのくらいいますか?

B 少ないと思います。作家に限らず、業界自体まだまだ女性人口は少ないですね。

C 私はまだ1年目で作家の知り合い自体そう多くはないんですが、女性作家さんの知り合いは0人です。なので作家の男性に、おかしなことを言われても、セクハラなのかどうかも相談できる人がいなくて……。

――どんな発言なんですか?

C 日常会話の中で、「俺って男としてセーフ?」のような感じで話が始まります。私にとってその方は大先輩なので「いえ、アウトです」なんて口が裂けても言えず、同調していると「で、いつセックスさせてくれるの?」とか、「プレイ中はMでしょ?」とかどんどん進んで。彼としては冗談のつもりで悪意もなく、セクハラだなんて露ほども思ってないんでしょうけど、一般企業で働いていた経験のある私としては衝撃でしたね。会社だったら即異動か解雇レベルですもん。

B あ~そういう人、いますね。フリーの場合なら会社って枠組みがない分言い放題だし、ある程度年齢を重ねてたら注意する人もいなくなるから、恥をまき散らしてることに気が付かないんですよね。ある意味かわいそう。

C 些細なことだって受け流せばそれまでなんですが、お会いするとずーっとそんな調子なので、毎回気力をすり減らされていました。セクハラというより、モラハラですかね。

A すごい方ですね……。女性側が30歳を超えるとハラスメント系はかなり減るから、今は辛抱しかないかもしれないですね。

――辛抱しかないんですか? Aさん、Bさんもそのような経験が?

B ありますね~。まだ業界に入ったばかりの頃……それこそCさんと同い年くらいの若さで。右も左もわからず企画会議に参加して、そこで初めて出された宿題が「下ネタで替え歌を作ってこい」で。

A・C エッ! いやだ~!

B ですよね。当時は訳もわからず必死に考えました。でも全然できなくて……。下ネタって言ってもどの程度なのかもわからないし、考えあぐねた末に先輩に相談したら「あ~それね。ただのセクハラ」って言われたんです。企画は関係なく、私が考えた替え歌を発表させることを楽しもうとしてたんでしょうね。その日はさすがに泣いて帰りました。

A それが最初の宿題ってキツイですね……。

――企画の会議中はどんな雰囲気なんでしょうか?

A もはや社内の男たちの性癖や性事情を全て把握できちゃうくらい、会議ではそういう話題が出ますよ。20~30人いる会議室で大学時代のセックス事情を話し出すD(ディレクター)とか、風俗の話で延々盛り上がったりだとか。感覚的に、午後10時を回ると下ネタ解禁って感じです。

B 会議前の雑談でもよく風俗の話はしていますね~。前に一度「お気に入りの女の子とのプレイを盗聴してきたんですよ~! Bさんもぜひ聞いてください!」と若いADに振られて、もうビックリしましたね。さすがにドン引きしたので断りましたけど。

C 断れたんですね……よかったです。私は振られた下ネタを一度嫌がったことがあるんですが、「若い女ぶりやがって。この程度でダメだったら業界じゃやってけねーよ」なんて言われてしまって、「そんな業界なんだ……」って嫌になりました。それはバラエティの会議だったので、余計ひどかったのかもしれません。

B バラエティはどうしても下ネタが多くなるかも。冷静に考えたらそんな業界おかしいのに、もう慣れちゃってオカシイって思わなくなってきちゃってるのかもしれないです。危ない慣れですね。 個人的には、朝の情報番組だとかNHKだとかの会議はまともで、セクハラや下ネタは少ないイメージです。

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