マウント凝縮フルコース「先輩ママ」の友人宅訪問は地獄でしかなかった

息子が生後3カ月ごろ、初めて息子を連れて幼稚園・高校時代の友人Tの家へ遊びに行った。
Tには二人の子供がおり、当時長女が4歳・長男が5カ月。長男と私の息子は同学年でわずか2カ月違いだ。
家族ぐるみでの長い付き合いだったし、産後初めて子供同士を合わせるという、普通の友人同士ならやるであろうイベントなわけだが、その日、私はやけに気乗りがしなかった。
久々にTに会えることも、Tの赤ちゃんと息子を対面させられることも、それ自体は嬉しいことであるはずなのだが、心のどこかで、これは一方的な“マウント会”になるに違いないと、確信していたのだ。

◎一方的な価値観の押し付けがウザいT

Tは決して悪い人間ではない。良いところがいっぱいあるから付き合ってきたのだ。
ただ、Tが先に結婚してから、ちょっと違和感を覚え始めた。まだ独身だった私に「愛ちゃんはまだなのぉ~?」としきりに言うようになったのである。
Tは長女を出産後、子供が好きではなくそもそも自分が母親になるイメージなど全くできていない私に「産んじゃえば絶対可愛いよ。早くしないと産めなくなるよ」と勧めてきたりもした。

人それぞれ価値観は異なる、という前提条件をTとは共有できないと思った。
Tは特に結婚や出産において「自分が到達した」ことを現在していない相手に対して「未熟」扱いするような節があった。だから徐々に、私はTと距離を置くようになり、自分が妊娠したことも直接Tに報告しなかった。

しかし別の友人を通じて私の妊娠を知ったTは、急にたくさん連絡をよこしてくるようになった。そして「つわりがその程度ならまだマシ」とか、「家で靴下履かないなんてありえない!」とか、いきなり「先生」になったかのような調子で物申してくるのである。

妊娠後期や入院間際まで「運動が足りてない。難産になるよ」とか「そんなのはおしるしじゃない、もっとこうなハズ」とか、いちいち自分の経験が“正しい産婦”の経験そのものだとでも言いたげに主張するTに、私はすっかり疲れていた。でも、子供が産まれたらきっとTに一度は会うことになるんだろう。なにしろ幼稚園時代から、実家の家族ぐるみの友達なのだ。そう思って、近い将来が憂鬱だった。

私は産後、退院してからろくに寝られない生活が続き、生後間もない命を預かっているという不安との戦いや、母乳がスムーズにいかないことのストレスや、貧血がひどく、食事も喉を通らないし、本当に余裕のない毎日だった。
その時期にTと私の母が連絡を取り合い、彼女が我が家に遊びに来るという話になったようなのだが、こんな状況で、ああだこうだと「レクチャー」されるのはさすがに耐えがたい。その時はやんわりと断り、そのうち落ち着いたら……ということになった。

息子は生後2カ月で寝返りを覚えたのだが、オムツ替えの際に身体をひねらせて寝返りを打とうとするので替えづらくて困った。それを近くで見ていた母は、Tに近況報告がてらLINEで気軽にそのことも話したりしていた。
その時のYからの返信は「あるよね~笑」ではなく「もーー! Aちゃんったら……そんなやり方じゃダメ!!もう、教えるから連れてきて!!!」というものだった。
家族ぐるみのざっくばらんな付き合いをしていた関係だから、この物言い自体に母は特に何も思わず、むしろ「先輩ママ」のTが、私を案じてくれていると喜ばしく思っていたようだ。

この段階で「ああ……きたきた……」と、私はTとの心の距離を早速取り始めてしまっていた。
まだ2カ月なのだから慣れないのは当然だったし、数をこなしていけばどうってことない、私にとっては「“今”の小さな課題」であり、別に悩んでいたわけではない。
だというのに、「もう! そんなんじゃダメ!! 喝!!」とばかりに早速首を突っ込んでこようとしたTだったから(自分だって最初からできたわけじゃなかろうに)、T宅に遊びに行くとなれば、いよいよ「慣れたお母さん」を最大限に演出できる日が来たとばかりに大御所審査員気分で待ち構えているに違いないと思った。なんとかして避けたかったが、そうもいかず、ついに対面の日と相成ったのだ。
上手くぶつからずマウントを回避できる術はないものか……私は緊張していた。

◎「息子ちゃんがかわいそう!!!!」

約束当日。T宅には、Tのお母さんが来ており、私も母と息子と3人でお邪魔した。Tの夫は不在で、30年来のつきあいである母子と孫同士が一同に会する日となった。

「〇〇(息子)ちゃん~!! いらっしゃい~!」と、笑顔で迎えてくれたTとTのお母さん。
しかし約30分後、私はTのマウント行為に耐えかねて、早くも帰りたくなっていた。

「先輩ママのマウント行為」については以前にも書いてきたが、今回は、その凝縮体験をフルコースで紹介しようと思う。

●「そんな小さいうちから預けて、心配じゃないの!?」(保育園)

私の息子は、生後1カ月半の時に奇跡的に保育園に入ることができた。もちろん、月齢が低いこともありフルで預けるのは無理だったが、家計を維持するためにも少しでも早い段階で働きに出ることを希望していた私には有り難いことだったし、このご時世こういう母親はそこらじゅうに存在するとは思う。
でも、保育園に預けること自体を良く思わない人々もいるし、まして「そんなに小さい月齢で!?」と眉をひそめる人は少なくないだろうと、自分でも思っていた。
そしてTはそちら側の人間だ。Tの感想はもちろん、「ええー! かわいそう!!」。

私だってまだ身体が回復しきってない中での仕事復帰はきつかった。でも、それぞれの家庭ごとに事情なんかまったく違う。“今”奇跡的に保育園入園できたが、一年後だったらアウトかもしれない。一年みっちり母子密着育児をした結果、保育園落ちたの私だ状態になり、仕事復帰できず、減ってゆく預金残高に不安が募っていたかもしれない。
「そんな小さいうちから預けて、心配じゃないの!?」とTは言うが、それは私の息子を案じてくれているのではなく、私を責めているだけである。育児放棄とまではいかないにしても「子供を無下にしてる」とTは捉えているのだ。

●「そんなの全然いいほう!!」(夜の睡眠)

新生児期こそかなりの細切れ睡眠だったが、息子はこの時期、5時間ぐらいまとめて寝るようになっていた(ただし一時的なものだったらしく、その後また細切れ睡眠期に入って体力が削られたのだが……)。

母子2組での会話の中で、私が「まとまった睡眠が取れない」状況だったことに話が及ぶや、Tは「えーーー!! そんなの全然いいほう!!」と、目をつりあげてまるで噛みつきそうな勢い(“目の色を変える”とはまさにこのことだ)でブーイングの声を上げた。いわく、「もっと寝ない子はいくらでもいる」そうだが、余所の子と比較することに意味なんてないだろう。
赤子なんて100人いたら100人違う。それに良い時期もあれば難しい時期もある。
「先輩ママ」ならそれぐらい、わかっているでしょうに。

●「抱っこが足りないんじゃないのぉ~?」(抱っこ問題)

3カ月になった息子はかなり活発になってきていて、普段「抱っこで落ち着かされる」という行為を嫌がっていた。
だから私は息子を好きに遊ばせていたし、無闇に「抱っこ」はしない、出来ない。母子のコミュニケーションは「抱っこ」がすべてではないし。
この日も元気に動き回っている息子を横目に、そのことを話すとTは、やはり納得いかない様子で、その流れで私の息子が一人遊びが好きだというと、「抱っこが足りないんじゃないのぉ~?」。え、どうしてそーなる???
Tが「できるだけ子供を抱っこしたい」と考えて実行するのは自由だが、育児方針や子供の性質なんて人それぞれであって、「抱っこが足りないから子供がさみしがっている」と短絡的に決め付けられても困惑するしかない。というか正直、そんなことを言われても嫌な気持ちになるだけだ。

この後、寝ぼけ眼になった私の息子をTが抱き上げ、息子はそのままウトウトし始めた。私の母が「寝そう! やっぱ抱っこが好きなんだね~♪」と言い、Tは「違う違う。抱っこが上手いんじゃない? やっぱ寂しいんだよ」と言った。ああ、帰りたい!
これでもかというくらいに「自信」を見せつけてくるTの姿に、もしかしたらTにとっての子育てとは「闘い」なのかもしれない、Tは何かと「闘って」いるのだ、と感じた。

●「完全ミルクなんてかわいそう!!!」(母乳について)

T宅で用意してくれた昼食をいただき、大人たちがお腹いっぱいになってきたところで、最大の難所が訪れた。
私は初期の母乳トラブル(「乳首を吸われたくない」私が完全粉ミルクを選択した理由と、母乳信仰)によりミルク育児を進めてきたのだが、一番デリケートな問題だっただけに、この話題でTからマウントされて平穏を装える自信がなかった。
だから話題に及ばないよう必死に避けてきたが、2~3時間滞在していれば自然と“バレ”る。

「ほぼ最初から完全ミルク」という事実を話した時のTの反応は、保育園ネタの時よりも大きかった。
「ええええーーー!!!!」と大ブーイングをしたのち、「なにそれー! かわいそう!!!」と断言……。さすがに<嫌な気持ち>を通り越して<怒り>もわいてきた。

Tは私が完全ミルク育児をするに至る事情は知らないし、この一言に私がどれだけ傷つくかなど考えもしないわけで、私がスルーすれば良い話なのだろう。身体の芯からムズムズと湧き出てくる怒りを抑え込み「色んなやり方があっていいんじゃない?」と口にしたが、多分私の怒りは届いていない。
そもそも私の事情(母乳のつもりだったけどダメだったからミルクに移行した)がどうであれ、「ミルク育児を頭から批判」するTの態度は非常に残念だった。

「かわいそう」とはなんだ? 誰目線? お前は私の息子か?
母乳は美味しくてミルクは不味いかというと、そんなわけはない。母乳は安心を与えられるけど、ミルクは不安定にさせる? そんなわけない。何の裏付けもないのに、ミルク育児で育っている私の息子を「かわいそうな子」呼ばわりされる筋合いはない。
っていうか、「自分じゃなきゃダメ」ではない「完全ミルク」を手抜きのように言うが、夜中何度も湯を沸かしてミルクを氷で冷まし、哺乳瓶を毎回洗って消毒して……ってむしろ手間なのだが。これ、手間ヒマかけて育ててます~、と言っていいくらいだと思う。

この後にまたタイミングよくTの息子の授乳時間になり、来客がいるのだからてっきり別室へ行くかケープか何かを出すのかと思ったら、その場でボロンと惜しげもなく乳房を出し、手慣れた様子で授乳を始めた。幼馴染みとその母だから抵抗がないのか。
いや、どうやらTは、この一言を言いたかったらしい。
子供に乳首を咥えさせながら「ほら、安心してるでしょ?」。

うわあ、消化できない。

◎先輩ママをお手本にするのは無意味

私がTを「先輩ママ」として持ち上げ、自分は未熟者なので教えてください……というスタンスで応じていれば満足なのだろうか。いや、Tと話していると、私の息子がまるでTの監視下にある子かのようだ。

Tが「かわいそうだ」と決めつけ、「抱っこが足りない」と奪うようにして抱いているその赤子は、紛れもなく私が妊娠や出産に耐え抜いて産んだ子供だ。保育園に行こうが一人遊びしようが完全ミルクだろうが、それらは母である私が、自分と息子にはこのやり方がベストだと信じ、選んだ方法であり、Tが介入する余地はない。
何より今、この子はこんなに元気でこうして遊びにも来ているのだから、何がかわいそうでどこが間違ってると言うのだろう。

世の中には「苦労すればするほどえらい」というわけのわからない育児文化があるが、この日もそれを痛烈に感じたエピソードがあった。
私の息子は初対面だろうが何だろうが誰に抱かれても嫌がらない。要は「ママにベッタリ」なタイプではないのだが、これもT曰く「やっぱ、スキンシップが足りてないんじゃない? おっぱいもあげないし。愛情の欠如だよ」だそうだ。

捉え方次第だな、と思った。むしろ私は息子が誰に会っても喜んで抱っこしてもらえて、幼いうちからたくさんのコミュニケーションが取れることを「良いこと」だと思っていたし、「ママ」である私じゃなくても笑顔を振りまき、可愛がってもらえたり世話をしてもらえるのは、私自身もとてもやりやすかった。
逆にTの息子は「ママにベッタリ」タイプで「パパでもダメ」、何かにつけ「ママ」を探して泣き、大変だそうだが、Tはそのことをとても誇らしげに話す。でもこれも捉え方次第で、同じ状況で「本当に大変で、身動きとれなくて、つらくて……」と病んでしまう親もいるだろう。

Tが自信満々にマウントを取ろうとするのは、自信のなさの裏返しのように思える。自分の育児を、ひいては彼女自身を肯定するために、Tとは違う育児方針の私を責めて私の息子を「かわいそう!」と言うのではないか。
自分は片時も我が子から離れず大事に育ててきたが、愛は「ママ」としての責任を全うせず息子と一定の距離を取っている。自分のほうが正しいはずだ、と。
でも、どちらかしか正しくない、なんてことは、あるんだろうか。

母子密着育児が推奨される風潮は未だにあるし、こうしてTのような「ママ友」などもいる中で、惑わされず自分と息子に合ったやり方を模索しここに至るまで、私は結構、苦労した。
でも実際に行政サービスを活用し、自分以外の大人にも息子の育児にかかわってもらい、ミルクで育てている今、すごく快適だ。最初から「産んだらそうしよう」と計画していたわけではなく大体なりゆきで選択したことだが、いざやってみると、私と息子にはこの方法が合っていたのだと思えている。

結局は以前にも書いたように、「先輩ママ」のTは「とにかく褒められたい」自己顕示欲のかたまりだったのだろうが、それをたった1日(数時間)のうちにここまでフルコースで堪能させられた経験はなかったので、記しておきたかった。

何度も強調するが、どのような育児を遂行するかは、育児する当人が決めることだ。
それを傍から正解・不正解と審査する人間がおかしい。その“正解”の概念は当事者の母親ごとに異なるだろうし、第一、「この育児生活は正解だった」とわかるとしたら、ずっと先の未来のことなのではないだろうか?

「先輩ママ」は、お手本でも先生でもない。育児に向き合う責任を持った同志の他人でしかないのだ。もちろん情報共有すれば得なことだってたくさんあるが、所詮その程度だ。

“そんなこと言っても他のママの情報がなかったら、子のトラブルのときどうしたら?”とか、“自分じゃ判断できない事態が起きたなら?”と思うのなら、医師や地域の保健師など、専門家に聞けば良い。自分に合ったやり方を見つけ、本当に困ったときは親でも先輩ママでもなく、専門家を頼る。それが当たり前になってほしい。
そして、Tのような「先輩ママ」のターゲットになった時に、「ああ、これがこの人の習性か」と華麗にスルーできればと願う。

■ 小出 愛
1981年生まれ、学生時代から10年以上スポーツ一本、卒業後はスポーツトレーナーとして第一線を志すも、いろいろあってパチ屋店員に。そこで旦那と出会い、結婚、2016年に第一子出産。プロレスは知らないけど猪木が好き。ママ友ヒエラルキーには入りません。

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