コラム
【田房、子役オーディションに行ったってよ】vol.2

スポットライトの快感とカタギじゃない審査員! 芸能界の光と影を見た子役オーディション

2013/03/30 14:00

 1つ前のグループが審査している最中、部屋に静かに入り、スタンバイ。部屋の照明は消され、壁際に並ばされた赤ちゃんを抱っこしている親6人だけをスポットライトが照らしています……。親たちの後ろにある大画面スクリーンには、今まさに審査中の赤ちゃんの顔がアップで映し出され、親の向かいには6人ほどの「専門家の審査員」たちが並び、ドラマのオーディション風景そのもの! 芸能人に憧れている親はビンビンにそそられることでしょう。ていうか、そのために照明消してますよね!? 

 私もいよいよスポットライトの下に、ほかの親子と共に着席。専門家たちの机には肩書が貼ってあり、「某テレビ局教育番組プロデューサー」とか「某育児雑誌編集長」とか、そうそうたる顔ぶれ。その前でほかの親子と共にスポットライトを浴びる自分と我が子。一体なんでこんなことになっているのかわからないおかしさがあふれ、めちゃめちゃ楽しい気分になってきました!

 1人ずつアピールするのですが、みんな名前と月齢を言う程度。そんな中、私の隣の武田久美子系のママはかなり本気ムードで「この子の父親の出身地のフィンランドの童謡を聞かせると踊ります!」と、自ら外国語で歌い出しました。しかし、ピクリとも動かない赤ちゃん。「ちょっと緊張してるかな」と、進行役のスタッフが武田のハンパない自己主張を手慣れた口調で制していました。どんな親の話もメモにとり、優しい表情で聞き入る審査員たち。楽しさで私は覚醒状態になり「うちの子はぁ~、よく笑ってぇ~、よく食べてぇ~、すごいいい子でぇ~す」と子どもの頃の貴乃花みたいなしゃべり方をしてしまいました。

払えない額じゃないのがリアル

 芸能界の楽しさだけを体験するような審査はこれで終了。速攻で出口に誘導されます。

 後日、当然のごとく「二次審査合格証書」と「入学金のご案内(年間18万円コースか26万円コースを選択)及び振込先」が届きます。さらにダメ押しの電話がかかってくるのが、T・アカデミーのすごいところ。明るい声の女性が「審査員の方々のコメントをお伝えしますね!」と言い出し、「『元気があり、見ている人を明るくさせる力がある』『将来性を感じる』『かわいらしい。有望である』」と、ほめられまくりました。悪い気はしない! だけど入学金のほかにも諸費用がかかるとか、聞いたことないクレジット会社と契約すれば分割にできるとか、合格証書と同封された“金に関する大量の書類”が、目を覚まさせてくれるのでした!
(田房永子)

最終更新:2019/05/17 20:30
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