【田房、子役オーディションに行ったってよ】vol.2

スポットライトの快感とカタギじゃない審査員! 芸能界の光と影を見た子役オーディション

2013/03/30 14:00

 この待合室、本来はレッスンルームのようで、壁は全面鏡張り。モニターには「T・アカデミー所属子役が出演のドラマやCM」の紹介VTRが延々と流れ、壁には鈴木福くんの赤ちゃんモデル時代からの顔写真と共に、彼のサクセスへの道のり年表が貼り出されています。パチンコ店並みにうるさい鏡張りの部屋で、鈴木福くんの確かにかわいいけどフツウの顔した赤ちゃんの頃の写真を見ていると、“うちの子も、もしかしたら!”と、親の闘志に火がついています。

 ただ、周りの親子をよく見てみると、「孫の晴れ舞台だから」とばかりに付いて来たおじいちゃんが無表情でおにぎりを食べていたり、THE BLUE HEARTS風とプリンセスプリンセス風のイカ天世代丸出しの夫婦が赤ちゃんを抱っこしてたり、そこはかとなくダサい日本の風景が広がっていて、意外と殺気立ってません。お堅い職業じゃない感じのパパが圧倒的に多く、全体の4割くらいのパパが外国人だったのも印象的でした。

審査員の存在が、芸能界の厳しさを語る

 いよいよ順番が回ってきて、10組の親子と共に隣のオーディション部屋へ移動。めがねの男性がハイテンションで「こんにちは~!」と説明を始めました。ここでも「一次審査は本当に、厳正な審査で選ばせていただいてます」と言ってました。そして入学金や芸能界の厳しさなどの生々しい解説はなく、赤ちゃんをコチョコチョする歌遊びが始まり、緊迫感はゼロ。

 この部屋でカメラ映り審査が始まるのですが、めがねの男性の後ろにビデオカメラが設置された三脚が3台、それぞれに面接官が2人ずつ着席してました。そして、面接官の中に一人、すごく目立つ男性が! 松村雄基にものすごく貧乏な劇団員生活を20年間送らせ、強烈なモラトリアム状態で熟成させた感じ。深い二重の奥でランランと輝く瞳、その下に深く刻まれたクマ、スクールウォーズなヘアスタイルに、「人に注目されてナンボ」の世界だけをひたむきに目指してきたことを物語る背骨の反り……彼の存在こそが芸能界で生きることの厳しさを教えてくれます。ほかにもスタッフの中には「芸能人を目指した人の、ある一つの行く末」な感じの女性も数名いました。

 そして、1組ずつカメラ映り審査が始まります。うちの子の顔を撮りながら、「人見知りはしますか?」とか「好きな食べ物はなんですか?」と聞かれ、私が答えるだけ。もう一人の面接官が「かぼちゃが好き」とメモり、にこやかに1分くらいで終了。赤ちゃんを「商品として判定」する目線がここにはまったくなくて心地いい。しかし、オーディションはこれだけではなく、ここからがメインイベント、「専門家」による審査なのです……!

「ザ・オーディション」を味わえる面接

 今度は1階のマジックミラーになっている部屋の前に、ほかの親子と共に案内されました。この審査では赤ちゃん1人につき親1人でしか受けられないので、あぶれたお父さんやおじいちゃんが、マジックミラーの向こう側をじっと見ていました。向こう側は薄暗く、よく見えません。

「ゴールデン☆ベスト 松村雄基」
12曲目のタイトルは「我武者羅」……泣かせるぜ
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