「R65不動産」山本遼代表インタビュー

「65歳以上」は部屋が借りられない!? 高齢者の“家探し問題”と解決策を不動産屋が明かす

2017/05/12 15:00

理解あるオーナーも、徐々に増加中

 高齢者だけではなく、非正規雇用者や低所得層の賃貸住宅供給の問題は深刻だが、その一方で空き家や空き室は増加傾向にあり、政府も支援に乗り出している。4月19日には、高齢者や所得の低いシングルマザー世帯などのための賃貸住宅向けの空き家・空き室情報を登録・提供する制度などを盛り込んだ「改正住宅セーフティーネット法」が成立した。運用には人手不足などの課題も指摘されているが、日本の高齢化は国際的にもトップレベルであり、動向が注目される。

「孤独死や家賃滞納、ゴミ屋敷化、火災などのリスクは、高齢者に限ったことではないですよね。確かに事故は怖いですし、不動産賃貸において貸し手が強い風潮はありますが、高齢者に貸すことに興味を持ってくださるオーナーさんや業者さんも少しずつ増えてきました。できるだけリスクを減らせるように、事例の紹介など、関係者向けの勉強会も随時開催しています」

 実際、物件のオーナー側には、高齢者に貸すメリットがあるのだろうか?

「高齢の方は夜中に騒いだりすることもなく、お掃除も丁寧です。勉強会では、お年寄りに貸すメリットや事故の際の火災保険の活用など、大家さんの負担を軽減する事例などをご紹介しています」

 それでもやはり、若い世代に比べると、高齢者のほうが死のリスクが高いのは事実だろう。

「安否の確認はセンサーなどテクノロジーで対応できる部分もありますが、当社では入居者さんと定期的に会って話をしたり、お茶や食事を楽しむフォローをしています。むしろお年寄りが長生きできるのは喜ばしいことですし、『以前、この部屋には100歳までお元気だった方が住んでおられました』というのはいいことだと思うんです」

 現代社会においては人生の最期を病院で迎えるケースがほとんどだが、昔は家で亡くなるのが当たり前だった。高齢化の急速な進展は、日本人の死生観も変えるのかもしれない。

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