「『薔薇族』編集長とマンガ家が、お互いに聞いてみたいいくつかのこと」レポート

男同士も、男女のエロマンガも同じ――「薔薇族」編集長が語る“セクシュアル・マイノリティ”の世界

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『オトコに恋するオトコたち 誰も教えてくれなかったセクシュアル・マイノリティの世界』(立東舎)

 ゲイやレズビアンといったセクシュアル・マイノリティに対する偏見はないけれど、「実際に友達や家族にいる」という人はまだまだ少数派なのかもしれない。今後、セクシュアル・マイノリティの人と出会ったとき、相手のことをいろいろと知りたいと思うがゆえに、センシティブな質問をしてしまい、相手を傷つけたり、不快にさせたり……そんな失敗を恐れる人は少なくないのではないだろうか。

 先日、『オトコに恋するオトコたち 誰も教えてくれなかったセクシュアル・マイノリティの世界』(立東舎)が刊行された。「セクシュアル・マイノリティ(=本書では略して「セクマイ」)」の当事者であり、日本初の同性愛マガジン「薔薇族」(第二書房)の二代目編集長である竜超氏が、セクマイに関して「難しくてついていけない」という人たちのために、その疑問への回答や秘密を明らかにした1冊だ。「ゲイはみんなオネエ言葉を使うの?」「TVでセクマイが活躍できるのは美輪明宏さんのおかげ?」といった当事者たちにはなかなか聞けない内容から、「LGBTってなに?」「同性パートナーシップ条例ってなに?」といった最近渋谷区で可決されて話題になった条例の話まで、幅広くセクマイのことを掘り下げている。

■伊藤氏が明かす「薔薇族」女性読者の存在

 本書の刊行を記念して、トークイベント「『薔薇族』編集長とマンガ家が、お互いに聞いてみたいいくつかのこと」が下北沢B&Bにて開催された。対談ゲストには、本書のカバーイラストも担当したマンガ家の紗久楽さわ氏、特別ゲストに「薔薇族」の創刊編集長である伊藤文学氏が急きょ出演した。

 前半では、「薔薇族」を立ち上げた現在83歳の伊藤文学氏によるトークが繰り広げられた。「薔薇族」は、世間が同性愛者への理解などもちろんまったくない時代の1971年に創刊。伊藤氏は今までに発禁処分を4回、始末書を20数回書き、罰金を支払ったと振り返り、時代がいかに同性愛をタブー視していたかを語った。

 そのエピソードとして伊藤氏が当時、読者から寄せられる相談に答えていたときのことを述懐。「何よりも当時の問題は結婚。結婚しないと出世できないし、長男は家を継ぐために結婚して子どもを作らなければいけなかった。そのためゲイの男性は、自身の性的指向を偽ってまで女性と結婚していた」と話す。伊藤氏はゲイの男性から、「どうやったら女性とセックスできるようになるか?」という相談を受け、努力の方法をいろいろ教えていたという。

 また「薔薇族」の読者ターゲットは、もちろんゲイの男性だが、伊藤氏は「当時は1~2割程の読者は女性だったと思う」とのこと。相談のお便りの中には、女性から寄せられたものも少なくなかったからだ。「自分の旦那がゲイみたいなんだけど、どうしたらいいか」という奥さんからの相談には、伊藤氏も大変困ったそうで、「自分は男性の味方はできたけど、女性へのアドバイスはできなかった。女性の中には、夫が男と浮気=肛門性交と連想して不潔感を感じる人は少なくなかった。その結果、離婚するケースは多かった」と、ゲイであることを隠さなければならない時代だったがゆえに生じた男女のトラブルを切々と語った。

 さらに伊藤氏によると「薔薇族」人気のピークは1994年であり、「『文藝春秋』(文藝春秋)よりも厚さがあった」という。しかし、そうして「薔薇族」が人気になればなるほど当事者としては困ったこともあったと竜氏は解説する。「今までのいわゆる“オカマ”的な男性ではなく、どこにでもいる“普通”な男性の中にもゲイがいるということが周知されてしまった。当事者たちは隠れていられなくなった」というのだ。雑誌の人気と並行して、ゲイに対する世間の類型的なイメージが変わっていったが、それが理解につながったかというと、そうでもなかったと話す。伊藤氏の貴重な話から、当時と現代におけるゲイを取り巻く環境がいかに異なるかが語られた前半であった。

マイノリティという言葉を使わなくなる日が来てほしい

しぃちゃん

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