角川慶子の「シロウトで保育園作りました」第100回記念対談(後編)

角川慶子×小阪有花「保育園で見かける親子の心の行き違いと、『うちの子を見てない』という保護者の思い込み」

2015/11/22 16:00

■子どもの能力、本当にわかっていますか?

角川 子育て環境の面でいえば、子どもが保育園で熱を出したとき、ママたちが仕事を無理して早く帰ってきているんじゃないかと気になります。近くにおじいちゃんもおばあちゃんもいないし、パパも無理。でも、ママだって会社で「子どもが熱を出したので帰ります」とは言いづらいじゃないですか。4月からベビーシッター事業を始めようと考えたのは、そういったママたちを見ているから。病児保育も、指定の病院に行って診察してもらわないとダメなんですよ。それで大変な思いをしている。あとは、うちの保育園でいえば、お受験ストレスですね。なかには「ママとけんかしてきちゃった、ペーパーができなくて」と言ったりする園児がいます。にこやかな貴婦人みたいなママなんですが、家ではきつく怒っているんでしょうね。

小阪 早期の英語教育も、それ自体は悪いこととは思わないし、これから日本には外国人が増えるだろうからコミュニケーションできた方がいい。ただ、そういった教育と向き合うタイミングは、子どもによってそれぞれ違うと思うんですよ。親の「させたい」という思いと、子どもの成長が合致しないことがたまにある。間違ったタイミングで子どもを混乱させたくはないな。

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角川 親が日本人の場合の早期英語教育は、私も反対。だから、うちの保育園でもやっていません。

小阪 でも、自分の夢を子どもに託している親は多いんですよね。子どもに合ったタイミングを伝えていきたいと考えています。

――前回のコラムに書かれていましたが、角川さんは「この子は幼稚園受験させた方がいい」と園児の保護者にアドバイスされたことがありました。

角川 とてものびのびしている子で、その個性を伸ばしてくれる学校に行った方がいいと思ったんです。でも、小学校受験はストレスになりそうなタイプだったので、「大学付属の幼稚園を受験したらどうですか?」と提案しました。幼稚園であれば、親御さんさえしっかりしていれば受かることが多いので、子どもの負担が少ない。親御さんもその幼稚園を見学に行って気に入ったそうで、受験しました。

小阪 そういうサポートをしてくれる園って最高ですね。やっぱり家にいる子と、保育園という社会に出てる子は全然違う。社会に出てる子が見せる能力は、お母さんには見えないものだから、周りがサポートして導いてくれるのはいいと思う。

■「うちの子を見ていない」という、よくある思い込み

――保育園で親子関係を見ていて、子どもの思いが親にうまく伝わっていないと感じることはありますか?

小阪 子ども同士は、ぶったりかんだりしても、その子のこと好きなんです。興味があるけど、どう接していいかわからないからそういうやりかたをしちゃってるだけ。でも、ぶたれた子の親御さんは「うちの子は、あの子のことが嫌いなんです」と言う。もちろん安全第一でよく見ているけれど、安全プラス経験値も必要なのに。

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