[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

母親がドレスアップしちゃ“罪”なの? 「入学式にふさわしい服」のネット声に驚愕

2014/04/27 21:00

 ……三代目姐。私の脳裏に「ふんぞり返った風情で手ブラで歩く、着物姿の岩下志麻」が思い浮かんだ……言われてみれば確かにそうかも……着物姿で手ブラはヘンだ。着物着て手ブラで歩いてる奴は、「三代目姐」か、もしくは「振り袖姿の、甲高い声で笑う気のふれた女(『獄門島』)」もしくは『浮浪雲』。全て、「一般人」ではない。ああ、ここで夫の一言がなかったら、うっかり私もコイツらと一緒になる所であった。結局、ダッシュでまた家に戻って、中身がカラのハンドバッグをうやうやしく携えて、ようやく小学校に到着したわけである(……が。朝っぱらからバタバタだったせいで、長男の上履きとか、ほかにいろんな書類忘れてて、しょっぱなっから額にダメ親の烙印を押された気分になった)。

 さて。今回こうして「子どもがらみのセレモニーな場」に、着物で行ってみたわけだが。着物で入学式に来てた人って、私以外に3~4人くらいしかいなかった。ものすごく少ない。そして、こういう場にふさわしい着物っつうのはやはり、「うす~いピンクとか白などの、パステル調の色合いの、格調高めな無地っぽい着物」なのかなーと思った。なんていうか、とにかく「お祝いな雰囲気」を醸し出しつつも、あくまでも「無難」で「奥様然」とした、そんな着物。自分自身も、何が正解なのかよくわかんなかったので、入学式終わった後に、今さらネットで「入学式にふさわしい着物」を検索してみたのだが。

 さまざまなアドバイスが飛び交う中で、「小紋なんてありえない」という意見を発見してビックリした。私自身は、着付け屋さんに「思い入れのある着物を着るのが一番ですよ」と言われて、胸張って着てたのだが、見る人が見たら「んまぁ、常識はずれ!!」になってたようである。一応私もそれなりに、TPOをわきまえたカッコしてたと思ってたのだが。

 そして一番驚いたのが、「子どもが主役の場なんだから、母親が着物なんか着てって目立とうとするのはありえない。意味がわからない」という意見があったこと。なんだかもう「母親は母親らしく、おとなしい色合いのコサージュのついたセレモニースーツ着てりゃいいんだよ!!」ということなんだろうか? 「母親が我を出すもんじゃない!!」「育児は自己犠牲の上に成り立つんだよ!!」と、キツい口調で叱り飛ばされたような気分になった。そりゃ、キャバ嬢みたいなモリモリな頭とか、花魁道中みたいな着物姿だったら問題あるけどねぇ。お母さんがドレスアップを楽しむのは「罪」なのか? きっと、この意見を書き込んだ人は、周りのお母さんたちがみんな「自分の好きなように、やりたいように、楽しそうに生きてる」ふうに見えるのだろう。なんだか、「不平不満」「妬みや嫉妬」が、ダラダラと滴り落ちてるような書き込みである。私みたいに「やりたい放題やってそうに見える母親」なんて、多分、確実に目の敵にされそうである……って、ああ、なんだか話が脱線。

 着物。せっかく着るんだから、そんな、目を三角につり上げないで、今度は、はんなりと楽しく着ようと思った。常識はずれは困るが、品が良くて素敵だったら、それでまぁいいんじゃないんでしょうか?

最終更新:2019/05/21 16:23
『酒とナミダとマリエと赤子 (すくパラセレクション)』
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