石川敏男の芸能デスクレポート

晩年の森光子さん「カメラの前では明るく」の裏で見せた一瞬の気弱さ

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最も苦労人でもあった大女優さんです

 名優・森繁久弥さん(享年96)が亡くなった同じ11月10日に、この世を去った女優・森光子さん。享年92歳だった。カメラの前で、あえてよぼよぼの姿を見せてくれていた森繁さんと、カメラの前では、しゃんとした姿しか見せなかった森さん。男と女の違いを抜きにしても、やはりまったく逆の“役者観”を持っていたのかもしれない。

 森さんを最後に取材したのは2008年の夏。森さんが、記念写真を見せながらご自身の半生を語るというトークショー。客席の後方から、歌いながら会場入りし、ステージでは軽快にユーモアを交えて生い立ちを話していた。知らなかった話も多く、「へぇ、そうなんだ」と、感動した。

 ショー終了後に、話を聞かせていただく約束だった。カメラのセッティングの間に、「いよいよ来年4月の舞台で『放浪記』が、2,000回を超えますね」と話しかけたら、森さんから思わぬ回答が返ってきた。「石川さん、ホントに2,000回できると思ってらっしゃいますか」と。ビックリした。さっきまでステージで、楽しそうにトークを交わしていたのに……と。私は、『放浪記』の2,000回にプレッシャーを感じているんだ、と思った。その時は知らなかったが、数カ月前にマネジャーを務めていた実の妹さんが亡くなり、森さんはすっかり気弱になっていたようだ。

 取材は、読売テレビが後援する、10月のフェスティバルホールでの『放浪記』の事前宣伝だった。私の目に、一瞬だけ気弱に映った森さんだったが、カメラが回りだすと、いつもの元気で明るく、お茶目な森さんに戻っていたから不思議だった。すごい人だ。しかし、この時の舞台から、『放浪記』の名物になっていた“でんぐり返し”は行っていない。

 森さんの女優人生は、芝居に取り組む多くの役者に夢と希望を与えた。14歳で女優デビュー。主役の座をつかんだのは41歳。27年間も脇役を続けて芸を磨いた森さん。街中でスカウトされて、あっという間に有名人になってしまうタレントもいるが、森さんのような女優もいる。芸能界だけでなく、その場にとどまることで、その場で鍛錬を続けることで未来が開けると教えてくれた人。謙虚で、頑張り屋さんだった森さんの四十九日が過ぎたばかりである。

石川敏男(いしかわ・としお)
昭和21年11月10日生まれ。東京都出身。『ザ・ワイド』(日本テレビ系)の芸能デスク兼芸能リポーターとして活躍、現在は読売テレビ『す・またん』に出演中。 松竹宣伝部、『女性セブン』(小学館)『週刊女性』(主婦と生活社)の芸能記者から芸能レポーターへと転身。

でも、2,000回達成した光子さんは、やっぱりすごい人

しぃちゃん

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