[連載]みかのはらミキ presents ご長寿番組潜入記

1社提供・日立への気遣いと常連観覧客が支える『世界ふしぎ発見』の舞台裏


(C)みかのはらみき

 今回は『日立 世界ふしぎ発見!』(TBS系)を観覧だ。1986年から26年続いている歴史クイズ番組で、開始当初から草野仁、黒柳徹子、板東英二、野々村真のレギュラーメンバーが変わっていないという正統派・ご長寿番組である。子どもの頃は、この番組のレポーターである「ミステリーハンター」か『なるほど!ザ・ワールド』(フジテレビ系)のレポーターになるのが夢だった。夢は叶わなかったが、こうして観覧できるのはうれしい。数年前、マンネリ打破のためかテレゴング方式などを導入していたが、不評だったのか消えていた。この番組はできるだけスタイルを変えないで続けてほしい。

 収録は世田谷区の砧スタジオ。バス停から歩いていくと黒塗りのワゴンのタクシーが何台か、スタジオ通用口から入っていくのが見えた。「さては徹子か? それともドラマ撮影の山P?」など勝手に想像し、スタジオに入る前からテンションが上がる。観覧者集合場所には30人くらいが集まっていた。これは年齢層が高めだ。おそらく40~60代男女。その中に、双子の小学生の女の子2人を連れたお母さんがいて目立っていた。

 スタジオに入る直前に、スタッフに座る席の希望を聞かれた。カメラからよく映るがパネラーの後頭部しか見えない席か、パネラーの表情がよく見えるがカメラに映らない席。色々な番組を観覧してきたが、席の希望を聞いてくれるのは初めてだ。うむ、気が利いている。

 いよいよスタジオへ入場。すり鉢の形をしたスタジオで、観客はパネラーの上方と横に座る、コロッセオのようなスタイルだ。そして、内装デザインは古代の遺跡と未来的な柄を融合したようなスパイシーな出来。セットの白い部分が所々黒ずんでいたが、古代っぽく見せるために施されたエイジング加工なのか、単なる経年劣化なのか判別が微妙である。観客席には、「番組関係者」として、すでに20名くらいが座っていた。おそらくスポンサーの日立関係者だろう、サラリーマン風のスーツ姿の男性が多い。

 前説にはシェーンというお笑い芸人が登場した。私は知らない芸人だったが、黒柳徹子に改名してもらったそうだ。改名した責任を感じている徹子は、彼らが売れるかどうか心配しているそうである。そして私は、この前説で『ふしぎ発見』独特の伝統を知ることになる。まず、出演者をスタジオに呼び込む際は、スタッフ観客一同、親しみを込めて愛称で呼ぶのだそう。草野仁は「草野さ~ん」、出水麻衣アナは「マイマ~イ」、黒柳徹子は「徹子さ~ん」(私としてはマッチばりに『黒柳さーん!』と呼びたいところだが)、板東英二は「バンちゃ~ん」、野々村真は「まこちゃ~ん」。これらは決まり文句となっている。

 そして、ゲストについては観覧客が好きなように愛称を決めるということで、指名された客が名付けていた。千原ジュニアは「ジュニちゃ~ん」、内藤剛志は「内ちゃ~ん」……。練習ではこっ恥ずかしくてあまり声を出せないでいた私の後ろから、よく通る声の男性が大声で「マイマーイ!」と言っていた。彼は、『ふしぎ発見』観覧の常連らしい。そして、彼のほかにも毎週観覧に来ているという常連のおじさんもいた。「お父さんは毎週見に来ているから、もうスタッフだよ」的なことをシェーンに言われ、得意げであった。スタジオの廊下ですれ違うと、自然に挨拶を交わす仲らしい。きっと、仕事のリタイヤ後の趣味になっているのだろう。

 いよいよ出演者を呼び込む時間になった。しかし、わざわざ練習したのに愛称を叫ぶ間もなく次々に入ってきてしまうタレントたち。「おいおい、いつもやってるんでしょ? せっかくの呼び込みもグダグダかよ!」とちょっぴり落胆。その刹那、ただならぬ気配を感じて振り向いた先に、おおっ! 徹子が!! 3人の介添人をつれて着物姿の徹子が姿を現した(ほかの出演者には介添人はいない)。席につく直前までメイクさんに前髪をとかされている。ただならぬ大物オーラがびんびんである。体格は小柄で、実物はテレビで見るよりおばあさん感……いや、大御所女優感が漂っている。そして、着物の足元は白いクロックスのサンダルだった。そうか、テレビに映らない部分は快適さ優先なのか……。また、徹子の椅子にだけ厚めのクッションが置かれているが、小柄な体形への配慮だろう。あのタマネギ頭の生え際を、わずか2メートルほどの距離から、目を皿のようにしてガン見で観察したのだが、地毛に見える。茶色っぽい前髪だけつけ毛のようである。セットにどれくらいの時間がかかるのだろうか……専属のヘアメイクじゃないと作れないだろう。

 草野仁はウワサには聞いていたが、すごい胸板だ。驚異的である。私が抱きついたとしても、おそらく草野さんの肩甲骨あたりまでしか手は回らないだろう。そして出演者が勢揃いしたところで、みんなで一緒に、

(世界ふしぎ~!)「発見!!」(双眼鏡を持つポーズ)
(薄型テレビ、買うなら~!)「日立!!」
(テレビは~!)「Wooo!!」

 これを観客と出演者全員で拳を上げながら言うのである。もちろん草野さんや徹子、ゲストたちも。ちょっとしたデモというか、集会のようだ。日立の1社提供とはいえ、ここまでスポンサーに配慮した番組も初めて見た。テレビには映らないのに、日立コールと呼び込みの練習で前説の大半の時間を使ってしまうのがすごい。

 番組収録はVTRで始まった。映像を見ながらリアクションをとる出演者たち。「イヤー」「うわぁー」「あらぁ~」……。うっ、ぐぐぐ……私は噴き出しそうなのを全力で堪えた。徹子の生リアクション声は想像以上の破壊力だ。誰よりも細かく声を出し、たくさんのメモをとる。書体は縦書だ。前説でいくら「盛り上げてくださいね」と言われたからといって、まったく笑うところじゃない時に笑ってしまうのはまずい。腹筋に力を入れて必死に堪えつつ、徹子を見つめた。

 それから先は、『ふしぎ発見』の永遠の若手枠・野々村真のボケや、真クンとクエスチョンの答えがかぶるとガッカリするゲスト、観客に話しかける自由な板東英二、時間ギリギリまでヒントをもらおうとするパネラーと草野さんの攻防など、お馴染みの空間を堪能した。昔からテレビで見ていた光景が、今、目の前で起こっているのだと実感すると、感慨深い。子どもの頃は、「あんな難しい問題を、あれだけの時間で答えを書くなんてすごい」と思っていたが、実際は制限時間はなく、全員が書き終わるまで延々に待っている。

 ある問題の時、千原ジュニアがいつまでも答えを書けず、スタジオが待ち状態になった。こんな錚々たる出演者の中、自分のペースで考え続けられるジュニアはある意味ハートが強い。私だったらプレッシャーに耐えられず、適当な答えを書いてしまうだろう。悩むジュニアに隣の席の徹子が、何気なくヒントを与えていたりした。

 冒頭にも書いたが、『ふしぎ発見』は開始当初からレギュラーメンバーが変わっていない。レギュラーの4人に代わる人間はいないのだ。きっと1人でも欠けたら終わってしまうだろう。徹子も高齢になり、テレビ番組の1社提供というスタイルも減少してきているが、いつまでも続いてほしい番組である。

観覧方法:ハガキで応募。観覧応募の書き方
客層:小学生からリタイア後の中高齢まで幅広い
収容人数:およそ50名
特典:とくにナシ

【あんまり関係ないけど見逃せない情報】
・観覧応募の条件は「3名以上」とされているが、今回は2名でも当選した。どうして3名にこだわるのか、そこは気になる。
・番組名に「日立」が付くのが正式名称。
・『ふしぎ発見』オリジナルグッズをかけたジャンケン大会があるが、これから観覧に行く方は、最初にパーを出すことをおすすめする。

みかのはらミキ
漫画イラストレーター。1980~90年代好きで、有名人を「やや~最大に美化」して描くのが持ち味。「星ぽえ夢」スタッフとしては雑誌イラストや携帯コンテンツなどでも活動中。芸能愛に溢れるブログも絶賛更新中。

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