[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

ラーメンに”女子”はいらない。「ブス麺」こそオンナが求めるラーメンだ!

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(C)安彦麻理絵

 食欲の秋、である。缶ビールのパッケージも、すっかり秋色。まぁ私は、秋とかそんなの関係なく、いつでも食い意地は張っているが。先日、夕方のニュース番組でやっていたラーメン特集を見た。普通のラーメンではなく「女子麺」と呼ばれるラーメンの特集であった……女子麺。普通のラーメンには、「高カロリー・濃厚・太る・狭くて汚い店・ムサい・毎日食ってたら絶対体に悪い」などなど、ろくなイメージがない。妊婦なんかは、出来ることなら絶対食わないほうがいいようなシロモノである。

 しかし、「女子麺」とやらはどうもそこが違うらしい。

 なにしろ「低カロリー・美容と健康を損ねない・野菜たっぷり・オシャレでキレイな店」てな具合だ。オンナが一人で気軽に食べられる、体重のこともあまり気にしなくていい、それが巷で流行っている「女子麺」なんだそうである。テレビで紹介されていた女子麺ラーメン店は、確かに小ギレイで一見するとまるで素敵なカフェのよう。店内はオンナの客ばかりで、ムサ苦しさは皆無である。肝心のラーメンも、トマトだのパプリカだのを使った野菜中心メニューでカラフル、麺自体も低カロリーにしてあるとかで、オンナのツボを押さえた作りになっている。汁までたいらげても胃もたれしなそうな、食後の吐く息が爽やかそうな、そんなラーメン。オンナに優しい麺、それが女子麺。……しかしなぁ。どうなのよ? みんなホントにそんなラーメン食べたいのか? トマト味のさっぱりラーメンなんて、どうよ?

 オンナってやつは、そんな「女子麺」ではなく、本音を言えば「ブス麺」が食べたいのではないだろうか。背アブラギトギト、ニンニクごっそり、野菜も多いがチャーシューもてんこ盛り、濃厚スープに激しくからまり濡れそぼる麺。食べた後に間違いなく後悔するような、それが「ブス麺」……。要するに、フツーのラーメンなんだけど。私が思うに、オンナの人は基本的には皆、根性も体も、男より丈夫に出来ている、はずだ。だから、本来はチャラい女子麺で満足できるはずがない、と思う。もともとガッツリした生き物だから、それを増大させないようにわざわざ女子麺を選ぶのか?

 世の中の女が男の目を気にせず、汚かろうが相席だろうが、ガンガン一人でラーメン屋に入って「トッピング全部のせ麺大盛り」とかを食うようになったら、何か大変なことになってしまいそうな気がする。これ以上、野蛮になったら大変だ。男の精子の数が激減してしまいそうである。

 私が思う、オンナの正しいラーメンの食べ方。それは。自分に嘘はつかない。己の気持ちに正直に生きる、だからあえて「女子麺」は選ばない。自分が本当に食べたいラーメンを選ぶ。人目を忍んで、野郎ばかりでごった返すラーメン屋にそっと入店し震える指先で、店先にある食券販売機のボタンを押す。店によっては「背アブラの量」や「麺の固さ」も、お好み次第である。

「アブラの量はどうしましょう!?」
「あ……アブラ、多めで……」
「麺の固さは!?」
「バ……バリ固でお願いしますっ!」

 そして運ばれてくる、テラテラの白いアブラがこってり浮かんだ濃厚な一杯に対して、「ああ、今、自分が食べているのは、まさしくブス麺……」と、心に確かな羞恥心を抱いて欲しい。「自分は今、恥ずかしいものを口にしている」と実感しながら、麺や汁を啜り上げて欲しいのだ。口一杯にトッピングを頬張って恍惚とし、口元から垂れる汁を、備え付けのティッシュで拭って欲しい。そして、恥ずかしいけれども、ドンブリに残った汁をゴクゴクと、おいしそうに飲み干してフィニッシュ……。火照った体に頬を赤く染め、アブラでヌメった唇から吐息をもらして満足してる貴女に、店中の男たちが勃起するかもしれない。「ブス麺」、それは「羞恥心」という名のラーメンだ(って、何なんだ一体)。

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