「新約・ジャニーズ暴露本」第6回

肉体献上は”悪魔の契約”……元Jr.が明かす『ジャニーズのすべて 少年愛の館』

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『ジャニーズのすべて 少年
愛の館』(鹿砦社)

――芸能界を牛耳る巨大アイドル帝国・ジャニーズ事務所。ジャニー喜多川社長率いる、この帝国からは数々のスターが誕生した。郷ひろみ、近藤真彦、田原俊 彦、少年隊、光GENJI、SMAP、そして嵐――。しかし、この帝国の内政が語られることは決してない。鉄のベールに包まれた帝国の光と闇を、数々の ジャニーズ非公式本から探っていく。

「オレ様がスーパーカルチャースタァだ!」

 という”押尾語録”も真っ青のタイトルをつけたブログを公開しているのは、1996年に『ジャニーズのすべて 少年愛の館』(鹿砦社)を出版した、元ジャニーズJr.の平本淳也氏。同ブログによると、平本氏は現在、実業家、企業家、投資家、作家、プロデューサー、カウンセラーetc……と、各方面でご活躍のよう。競馬の予想家としても、多くのファンの支持を得ており、最近は、音楽配信事業にも力を入れている様子。ジャニーズを辞め、19歳で起業し、数百を越える事業を取り扱ってきた実績があるというから、まさしく”ハイパーメディアクリエイター”じゃなかった(!)、”スーパーカルチャースタァ”なのだろう。

 さて本の内容だが、いわゆるジャニーズ暴露本とは、良くも悪くも毛色の違う一冊といえるだろう。ジャニーズ入りの経緯や、合宿所でのこと、そしてジャニー氏のホモセクハラ体験と、いわゆる”ジャニーズ暴露本”のパターンはしっかりと押さえている。当時、ともに過ごしたという、少年隊の植草克秀のヤンチャなエピソードが多く語られていることから、平本氏がまさしく当事者であったことがよく分かる。しかし、全体的に一歩引いた視点からの、実に冷静で客観的、説明的な描写となっている点において、ほかの暴露本に比べ、圧倒的に迫力不足なのである。

 もっとも顕著なのは、いよいよジャニー氏の”魔の手”が平本氏に迫ったときのことである。

この状況からいかに逃げ出すかひたすら考えた。やはり「トイレに行きたい作戦・我慢できないスペシャル」ととっさに頭に浮かんだ戦略により、脱出を試みた

 と、なんなら面白エピソードのように語られているのだ。平本氏がトイレから戻ると、ジャニー氏は隣で寝ていた忍者の正木慎也を新たなターゲットとし、欲望の限りを尽くしていたと言うのだが、平本氏は、この項をこんな一文で結んでいる。

それにしてもジャニーさんは植草といい私といい正木といい全くタイプの違う人間を誰でも可愛がってくれる、広い趣味の持ち主であることだけは確かだった

 軽い、軽過ぎるのだ。

 むしろ、ジャニーズ入りする前に所属していた”高いお金をとる劇団”への怒りの方が感情がストレートに伝わってくるほどだ。これは、やはり平本氏が、ジャニー氏からのホモセクハラの”最後の一線”を、「トイレに行きたい作戦」によって寸前で回避し、結局、ジャニーズを辞めるまで未経験であったからではないだろうか。

 オーディション一回で数千万円もの儲けを出す詐欺まがいの”高いお金をとる劇団”より、ジャニー氏のおめがねにさえ適えば、すべて無料でレッスンが受けられ、夢の芸能界への道を拓いてくれるジャニーズ事務所では、後者の方が遙かに良心的であると平本氏は思っているのだろう。

 確かに、そこだけ見れば良心的ではあるが、その背後にあるのは”肉体献上”である。つまり”すべて無料”は、少年たちやその両親の目をくらませるための”見せかけの良心”であり、他の暴露本の著者たちはその卑劣を告発している。そして、背負わされた大きなトラウマが、のちの人生においても大きな影を落とし、彼らの多くはいまも苦悩し続けているのである。

 一方の平本氏は、ジャニー氏の要求を突っぱねる強い自我とプライドを、Jr.時代にすでに持っていたのだろう。そのため、強烈なトラウマを背負うことなかったし、その後の人生でも成功を収めることができたのだ。だからこの本には、暗くて重いドロドロとした感情が感じられないのではないだろうか。ジャニー氏への私怨の深さが、他の暴露本著者とはまったく違うのだ。

 しかし、ジャニーズJr.のリーダー格にまでなった平本氏が、少年隊や光GENJIのようなスター(スタァ)になることなく、レコードデビューを果たさぬままジャニーズを去ることとなっているという事実は実に興味深い。華々しいデビューを手にするには、やはりジャニー氏への肉体献上という “悪魔の契約”が必要であることを、本書は示しているとも言えるからだ。

 それこそが、タイトルにもなっている「ジャニーズのすべて」だと、平本氏は言いたかったのか――。

『Jマニア No.111 』

ディープなジャニーズ事情ならこんなんも!

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【バックナンバー】
第1回 ジャニー喜多川氏との恋人関係を明かした衝撃作『光GENJIへ』
第2回 11歳でジャニー氏の”洗礼”を受けたメンバーが綴る『ジャニーズの逆襲』
第3回 「ジャニー氏を野放しにしたのは自分だ」、苦悩する元ジャニーズの懺悔
第4回 “ビッグ”アイドルから転落した田原俊彦、現在も続く「ほんの冗談」の悲劇

第4回 昼夜問わない性奴隷、不気味な注射……合宿所の内部を明かした問題作『Smapへ』

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