[女性誌速攻レビュー]特別編「主婦雑誌の歩き方」

赤文字系弱者の”平凡だけど幸せ”アピール雑誌「Como」

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「Como」(主婦の友社)

 主婦の友社から1990年に生まれ、創刊20年を迎えたミセス向け月刊誌「Como」。ターゲットは”3~7歳の子供を持つママ”に絞っており、”いつまでも「きれいなママ」って言われたい!”がキャッチフレーズ。最新号の表紙に登場した乙葉の巻頭インタビューは、本人の近況報告もそこそこに、七五三の着物選びから補助輪付き自転車を誕生日にプレゼントした話など、90%以上が娘の話題で占められ、ママ雑誌ぶりが徹底されています。ほかにも最近表紙に登場したのは山口もえ、千秋、ともさかりえなど、離婚歴があろうと”子どもを持つママ”のイメージが強いタレントばかり。

■赤文字系弱者オンナたちの自己肯定の場

 情報量はファッションと生活情報が半々といったところではあるものの、専属読者モデルの”コモモデル”にフィーチャーし、表情もポージングもこなれている彼女たちを見ているとファッション誌の趣すらあります。洋服の傾向は一見、「MORE」(集英社)「With」(講談社)系の地味で無難なカジュアルのように見えますが、「Ray」と同じ出版社なだけあって、「デカ目アイメイク」「アンチエイジング」といった美容記事も充実。女らしさも忘れません。また、子どもを持つママだからこそ楽しめるハッピーな企画も用意され、「親子OSOROを楽しもう!」という特集は貧乏臭さも成金っぽさも感じさせない、絶妙な親子像に仕上がっています。赤文字系雑誌の読者は、結婚後「VERY」(光文社)読者に進んでいくイメージですが、実際に「VERY」的ライフスタイルを送るのは上昇志向の強い「JJ」(光文社)や「CanCam」(小学館)読者の一部に限られ、そうではない赤文字系弱者の先には「Como」があるのかもしれません。一定以上の経済力が問われる「VERY」は到底無理でも、普通な生活を送る彼女たちには「Como」がちょうど良く、とても自然な遷移なのかもしれません。

 今月号はクリスマス、先月はハロウィン、先々月は運動会……と、子どものイベントに合わせた特集が多いこともあってか、女としての自分の欲望にまつわる企画は一切ありません。読者のお便りコーナーも子供の話題限定です。「娘がシャイ過ぎる」などほのぼの系のお悩みで、「お隣のばあさんがボケが始まって深夜徘徊している」「幼稚園の保父さんにトキメイていて……」というドロリとしたものはなく、完璧なまでの良きママのお悩みで突っ込み所がありません。

 結婚を機に”モテ”志向を卒業した女子が、自分を輝かせるために男ではなく子どもで”平凡だけど幸せな私”アピールを始める……。男に重点は置かないためか、夫の職業自慢などは一切登場せず、代わりに読み物ページに「シングルマザーという生き方」特集があるといった具合。男なくとも子がいれば幸せアピールに足りうる……それがコモママ像なのかもしれません。

■超難関の読者モデル枠で”幸せなママ”アピール合戦

 読者にとってのカリスマ的存在であるコモモデルの中にはティーン時代に「mc Sister」(アシェット婦人画報社)のモデルであった鮫島友希さん、『白鳥麗子でございます』(フジテレビ系)などのドラマに出演していた神崎恵さんの姿も。成城育ちのお嬢様だった鮫島さんは、難病を乗り越えて『魔女たちの22時』(日本テレビ系)に出演、アイドルだった神崎さんはJリーガーとの離婚を経て美容研究家に転進するなど、実生活は波乱万丈ながら、誌面では幸せな専業主婦にしか見えません。ほかにも元無名モデルなど、毎年新規合格するコモモデルは大半が20代。仕事で第一線に立つことなく、子育てに入ったママたちの表舞台で輝きたい願望は熱いようで、オーディションはテレビで特集されたこともあるほどの激戦です。その勝者の輝きは、誌面で並んだ売れっ子主婦タレントの住谷杏奈(夫はレイザーラモン・HG)を逆に素人に見せてしまうほどの威力です。

 毎号読み応えのある丁寧な誌面作りと豪華な付録(ポーチ、靴下等)で頑張ってはいるものの、広告も少なめで発行部数は10万部以下。ターゲットが狭いとはいえ、この数字はセレブ志向な「VERY」の半分以下。創刊当初は同社の「主婦の友」(08年休刊)に代わる看板雑誌としての期待を込められていたそうですが、この苦戦とは、”幸せなママ”という存在がリアルではなくなりつつある、日本の象徴なのかもしれません。
(内海敦子)

『Como (コモ) 2010年 12月号』

コモモデルってメモしなくっちゃ!

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