[女性誌速攻レビュー]「GLOW」12月号

40代女子向け新雑誌「GLOW」! ファッションよりも美容が大事?

2010/10/29 00:00
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「GLOW」(宝島社)12月号

 女性ファッション誌で軒並み売れ行き絶好調な宝島社。「sweet」「spring」「In Red」と、各世代に根強い読者を抱えている同社が40代向けの新雑誌「GLOW」を創刊したとあっては、チェックせざるを得ません。コンセプトは「ツヤっと輝く、40代女子力!」。付録はホームコレクションが人気のローラ アシュレイの「ツヤありサテン」のバッグ。総ページ数は303ページ! それでは、その中身を見ていきましょう。

<トピックス>
◎最強の40代女子登場!小泉今日子×YOU
◎愛と涙のMYブランド物語
◎中野明海のデイリー時短メイク

■「GLOW」のアイコンはやはりこのお二方

 創刊のニュースが報じられたときから、カバーモデルに誰が起用されるのか注目されていましたが、予想どおり「InRed」で活躍していたYOUと小泉今日子がふたりで登場しました。真っピンクな文字で「私たち40代、輝きます宣言!」なんて書かれた表紙にむずがゆさを感じます。何と言うか、コピーが資生堂みたいで違和感を覚えずにはいられません。

 巻頭では、このふたりと「GLOW」編集長の三人によるトークが掲載されています。「『キューティー』とか『オリーブ』を読んでた人の40代の姿」とキョンキョンが言っているんですが、まさに同誌はその層の女性にしたら救世主でしょう。「VERY」、「STORY」(ともに光文社)のような、「経済観念もあって、結婚もして、子どもも育てて、みたいなイメージ」(YOU)にはシンパシーを感じず、「ゆるさ? 余裕? 輝かなきゃ!っていうよりは、ちょっと方の力が抜けてる感じ」(YOU)に憧れ「夜遊びしそうな40代」(小泉)に見えると嬉しい。そういったゆるさや自然体になびく層は確実に存在しますよね。離婚経験のあるふたりがカバーというのが、結婚とか子どもとかキャリアとかどうでもいいじゃ~ん! みたいな姿勢が感じられて既婚も未婚も抵抗なく手にとれます。ただし、常に男はいる、みたいな。

 続いて、「私たちのGLOW宣言!」を見てみます。「人生経験浅めの女の子たちにはまだまだ出せない、内側から放たれるツヤっとした特別な輝き」がGLOW、と説明した後に鈴木京香、大塚寧々、原田知世、桐島かれん、カヒミ・カリィのインタビュー。桐島とカヒミ、原田に「力が抜けてる感じ」な世界観が表れています。さらに、「旦那はクリエイティブな仕事なんです」的な雰囲気を漂わせば完璧です。とはいえ、既婚者4人に独身の鈴木京香ひとり入れるところに、未婚女性への優しさも感じました。

■美容ページのボリュームに驚き!

 「PTK」ってご存知ですか? 40代の女子会のことをプチツヤ会(PTK)と「GLOW」では言うのだとか。そして「BPTK」は「ビューティプチツヤ会」で、美肌について語る会。「BPTK ツヤめき女子の美肌トーク実況中継」を見てみると、ベネフィーク、IN&ONなどを紹介する、何てことはない資生堂のタイアップ記事。「BPTK」も「PTK」もこのタイアップ以外で使われてないし、わざわざ資生堂のためだけに言葉を作ったんでしょうか……。と思いきや、公式サイトで「PTKメンバー募集」の告知が! 「お気に入りのレストランでの女子会や、女子限定のホームパーティー、キャンプ女子会、ラン女子会などなど……女子が集う場所ならテーマや場所は問いません。皆さんが実際に行っている女子会のことを教えてください!」とのことです。これは誌面展開が期待できそうですね~。どんな40代女子が登場するのか楽しみです。

 この後には「ポジティブ美容」「時短メイク」などが続き、106ページから160ページまでが美容ページというボリュームの厚さ。ファッション誌は強くても、美容雑誌は作っていない宝島社(ブランドムック本は別として)が、「GLOW」を美容雑誌としての機能も持たせようとしているのでは、と感じました。もちろん、YOUが広告を務める「ルクサージュ」も出稿されていました。

■ツヤっとした女子が読むのか不安な連載陣

 新創刊雑誌を読むときの楽しみのひとつは連載陣の顔ぶれ。ツヤっとした輝きを放ち、夜遊びもする40代の雑誌「GLOW」ではどんなメンツが揃ったのかとチェックしてみたところ、勝手に蓮舫の服をコーディネートした「話題のあの人をスタイリング」(辛酸なめ子さんのコラム)、「ダサたまのおしゃれケモノ道」(倉田真由美さんがオシャレに変身する話)、「ミッツ・マングローブの女の密談喫茶」(OLとの対談)、湯山玲子のフィクション小説「女の事件簿[ミニスカはいた教祖の妻]」のほか、今回は京浜工業地帯の夜景クルーズをレポした「突撃レポート」と、サイゾーウーマン的には親近感を感じるラインナップでした。くらたまさんの私服のオリジナリティーは、旦那さんの折り紙つきですし、今後の展開が気になります。

 しかし、これでは遊びが過ぎたと思ったのか「Beauty Essentials 美を鍛える日常」というオシャレな連載もございました。「女には『赤の口紅』という矯正力が必要である」と、口紅一本に心酔しながら松本千登世さんというお方がストーリーを綴っております。「女は女であるあいだ中、緊張感を持たなくてはならないのだろう」とかなんとか言ってる様子は、「美STORY」(光文社)の齋藤薫の連載、アレと同じような世界。「輝かなきゃ!っていうよりは、ちょっと方の力が抜けてる感じ」はしません。疲れます!

 という感じで、同誌が美容企画に熱を入れてるところが一番の驚きでした。ゆるさと自然体を漂わせながらも、美容に熱心に打ち込む姿は相反しているようですが、「夜遊びしている40代」に見せるには、外見が大事ですから意外と辻褄が合っているのかもしれません。ファッションは「InRed」とスタイリストが被っているようでこれといった違いはなく、ただヴィトン、プラダ、エルメスなどハイブランドの登場が目を惹きました。めでたく走り出した「GLOW」がその他女性誌とどう関係を作っていくのか、楽しみにウォッチしていきます。
(二宮まい)

『spring (スプリング) 2010年 12月号』

「GLOW」は売り切れでした!

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最終更新:2013/04/02 12:17
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