コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

ハライチ岩井「妻が前に出だして」発言に見る、芸人の妻が夫に気を使う理由

2023/11/16 21:00
仁科友里(ライター)

 また、神田は、ゲストに対する“イメージ”を基に、素顔を深掘りするトークコーナーで、野々村は「旦那サマより月収が多かった月は、あえてボロボロの服を着て『あなたのおかげ(で生活できている)』と言っているのではないか」と推測。

 これに対し、本人は、どちらの月収が多いかについては触れず、夫の給料を見た際は「頑張ったね、今月もこうこうこうやったね、ありがとうございます、今月もお疲れさまでした」とお礼の言葉を伝えているとし、外食に行った際も「パパのおかげやで」と言うため、娘たちはパパが大好きだと話していた。人サマの家庭に口を出す気はないが、やり方が随分昭和だなという気がしないでもない。

 野々村が専業主婦というのならまだわからなくもないものの、なぜこれほどまでに、夫に気を使うのか――そんな疑問を抱いていたところ、その答えらしきものが番組内で明らかにされた。

 岩井が「妻が前に出だして、(川谷は)後輩に舐められぎみっぽい」という“イメージ”を本人にぶつけたのだ。前に出るのは芸能人の仕事であり、野々村はそれができると認められているからこそ、オファーが相次いでいるわけだが、岩井の言い方には「オンナのくせに、でしゃばって」という発想がにじんでいないだろうか。当の川谷は「(野々村は)2丁拳銃・川谷の奥さんというよりも、ボクが野々村の夫と言われる」と、このイメージを半ば肯定してみせた。

 これは100%推測だが、今もお笑いの世界、ひいてはテレビの世界では、男性優位の思考がはびこっていて、女性が売れることは好ましく思われていないのではないか。なので、野々村は夫を立てることで、お笑い芸人や関係者から夫が笑われないよう、気を使っているというふうに思ってしまうのだ。

 上沼恵美子が『快傑!えみちゃんねる』(関西テレビ)で、「オトコもオンナもない、芸能人は売れたもん勝ちや!」と言っていたことがある。しかし、そんな彼女も、プライベートでは関西テレビの元プロデューサーの夫にはまったく逆らわないと、いろいろな番組で明かしている。彼女は夫をはるかにしのぐ高収入なのにもかかわらず、である。

 ジェンダーフリーが叫ばれ、その流れを意識しているように見えるお笑い界やテレビ界。しかし実際のところ、その実現はなかなか難しいのかもしれない。そんなことを思わされた。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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Twitter:@_nishinayuri

最終更新:2023/11/22 14:45
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