コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

中田敦彦がテレビを面白くすると思うワケ――「誇大妄想的な一面を隠し切れない」彼の魅力

2023/03/09 21:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

テレビスターになるつもりだったという中田敦彦(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「会社と揉めたところはデカいと思いますよ」オリエンタルラジオ・中田敦彦
『あちこちオードリー 「番組Pおすすめ回!」』(TVer)

 TVerの『あちこちオードリー 「番組Pおすすめ回!」』を見た。これはその名の通り、番組のプロデューサーが“推す”回で、2022年10月26日オンエア分の再放送である。ゲストはオリエンタルラジオ・中田敦彦だったが、テレビに出ている彼を久しぶりに見た気がする。

 中田の芸能人生は、起伏に富んでいる。2005年にデビューし、芸歴3年目でゴールデン冠番組を3本持つなど大ブレークしたオリエンタルラジオ。しかし、勢いは続かず、09年には冠番組がすべて終了してしまう。

 しかし、14年に結成したダンス&ボーカルグループ・RADIO FISHの楽曲 「PERFECT HUMAN」が16年に大ヒットし、『NHK紅白歌合戦』にも出場。さらに19年には自身のYouTubeチャンネルがスタートして人気を博す。その後、20年にはテレビから“卒業”することを宣言。同年中に所属事務所の吉本興業を退所し、家族とシンガポールに移住した。

 レギュラー番組や冠番組が多いほど“売れっ子”とされる風潮がある芸能界で、自らテレビを去った中田を「既存の価値観に縛られない、新しい人」だと見る人もいるだろう。しかし、同番組を見ると、案外古いタイプであることがわかる。

 中田はもともとテレビの世界を去るつもりはなく、MCを目指して一生懸命やってきたと言う。そのため、人気が急落したときは、韓国に行って手相の整形手術をするなど、体を張ることを厭わず、制作陣の言うことも全部聞いた。それもこれも「絶対に冠番組を取りたい、MCになりたい」という気持ちからだった。

 しかし、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)で、中田がMCを務める特番『中田歴史塾』をやった際、結果を残せず。 「MCになりたくてしょうがない奴なのに、なれないんだ」と心が折れ、燃え尽きてしまったのだそう。もし特番で結果を残し、MCになれていたら、テレビの世界にいただろうとも振り返っていた。

 思うように行かない焦りから「会社と揉めたところはデカいと思いますよ」「揉めちゃいけない揉め方ってある」「これはテレビには戻れないな」と、テレビからの撤退は後ろ向きなものだったとも語っていた中田。こういう話を聞くと、彼の印象は“新しい人”ではなく、テレビに固執する古いタイプの人に思えてくる。

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