芸能
『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』失踪や殴り合いのけんか……元受刑者支援の現実「あの日 妹を殺されて2 ~たとえ裏切られても~」

2022/11/29 13:37
石徹白未亜(ライター)

 自社の経営という点から見れば、ショウタを雇ったことのメリットはなかったであろうが、2年ぶりに彼と再会した草刈は、道を踏み外さず社会復帰を遂げていることを、ただただ喜んでいた。それは、社会に加害者が増やさないという自身の信念が一つ、形になったことへの喜びだったのだろう。心底感心する。

 ただ、ショウタのケースは珍しいのかもしれない。失踪した後に連絡も取れなくなるのはよくあるようだ。なお、前回の放送では真面目に働く様子が伝えられていた元受刑者・スグルも、今回の放送内で触れられていなかった。「何事もなさすぎて放送するほどではなかった」のであればいいのだが。

 ちなみに、今回番組内で説明された再犯者率は49.1%(2021年版犯罪白書より)で、前回放送時に触れられていた、2019年度版犯罪白書の再犯者率48.8%よりも上昇してしまっている。

『ザ・ノンフィクション』「苦しさ」「興味本位」ではない薬物利用の動機

 番組中、衝撃的だった言葉があった。コウスケがダルクの見学に行った際、元薬物依存者がミーティングで話していたことだ。

「(薬物を)苦しくて使ったわけではないです、興味本位で使ったわけでもないです。ただ何となく使いました」

 つい想像しがちな「苦しくて(苦しさから逃げたくて)」「興味本位で」という理由ではなく、「ただ何となく」という、スマホを見るかのようなゆるい感覚で、薬物に手を出す人がいる。

 そしてこの発言をした人の、自身への洞察の深さにも驚く。よく言われがちな「苦しさ」や「興味本位」は、どうも自分にはピンとこなかったのだろう。安易な想像で、人をわかった気になってはいけないと背筋が伸びる言葉だった。

 次週は「美咲をさがして ~帰りを信じた家族の3年~」。2019年9月、山梨県・道志村にあるキャンプ場で、突然行方がわからなくなった小倉美咲さん(当時7)。必死で美咲さんを探す母親のとも子は、ネットで心無い中傷を受けることになり……。

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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Twitter:@zPvDKtu9XhnyIvl

いとしろ堂

最終更新:2022/11/29 13:37
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