制度の施行でふるいにかけられる声優続出?

声優の2割が「廃業」検討? 7割が年収300万円以下、最も稼ぎがあるのは「ベテランではなく20代後半から30代中盤」

2022/10/10 08:00
サイゾーウーマン編集部
写真ACより

 声優・甲斐田裕子らが立ち上げた有志グループ「VOICTION」が行ったアンケート結果により、2023年10月に施行予定の「インボイス制度」(正式名称:適格請求書等保存方式)の影響で、約2割の声優たちが“廃業”を検討していることがわかった。

 インボイス制度は、消費税の仕入税額控除(消費税を算出する際に課税売上げの消費税額から課税仕入れの消費税額を差し引くこと)を、インボイス(適格請求書)の発行または保存によって受けられる新たな制度だ。施行後は、インボイスなどを電子化した「電子インボイス」での取り引きが主流になると予想されるため、ペーパーレスの促進や経理業務を効率的に行えるようになる。 

 なお、仕入額控除が適用されるのは、インボイスが発行された取り引きだけで、インボイスを発行できるのは課税事業者かつ、適格請求書発行事業者として登録されている事業者のみ。そのため、制度の施行後、適格請求書発行事業者であることが取り引きの上で有利になる可能性もある。

 一方で、売上高1,000万円以下の免税事業者が適格請求書発行事業者になる場合、原則として課税事業者にならなければならない。課税事業者になると、それまで免除されていた消費税の納税が課せられるようになるため、結果的に中小企業や個人事業主は負担が大きくなってしまうというデメリットも発生する。

「こうしたインボイス制度に反対する甲斐田は、8月に先輩声優・咲野俊介、岡本麻弥と共に同じ意思を持つ声優たちの団体としてVOICTIONを立ち上げました。メディアのインタビューで意見を語ったり、議員へ働きかけるなど、精力的に活動を行っています。その一環として、9月には公式サイト上でアンケート調査を行い、声優を対象にした『声優の収入実態調査』では、回答数260件のうち70%以上が年収300万円以下であると回答し、1000万円以上と回答したのはわずか5%という結果が明らかになりました」(声優誌ライター)

 また、「2023年10月にインボイス制度が導入された場合、ご自身の声優としての仕事は増減すると思いますか?」という問いには、23%が「廃業するかもしれない」と回答している。

 多くの声優たちがインボイス制度の施行に不安を抱えている様子だが、果たして第一線で活躍する声優たちの実際の懐事情は、いかがなものなのだろうか。

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