芸能
『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』暴言・暴力も「ありのまま」の異色介護「ありのままでいいじゃない ~いしいさん家の人々~前編」

2022/08/01 18:42
石徹白未亜(ライター)

 関係者以外にとっては「見なかったこと」になりがちな、認知症や精神障害などの患者とそれを支える人たちにスポットを当て、それら人々の行動を映すだけでなく、その人の歩んできた来歴や家族の状況、支える介護スタッフたちの貢献や苦労も丁寧に追っている良回だった。

 そんな良回だったものの、一点よくわからなかったのが、番組最後の石井と福田の話し合いだ。番組の構成的には、ヤマピーから上腕にアザが出るほどの暴力を振るわれ、福田が石井に話し合いの場を求めている、という流れだったので、福田がヤマピーからの暴力でいろいろ嫌になってしまったのか、と思われた(その気持ちはとてもよくわかる)。

 しかし、そこでの福田の意見は断片的に紹介されており、「今までの理念と反する方向に行ってるってみんなが言っていて」「前の理念と違うのであれば私たちは(スタッフは)辞めなきゃいけないのか」という意見もあった。これら発言への石井の言葉は一切取り上げられず、ただ福田の意見だけで終わっていた。「前の理念」とは何だったのか。これは後編で明らかになるのだろうか。

『ザ・ノンフィクション』介護業界から見た問題は?

 また、個人的には介護業界の人が今回の放送をどう見るか知りたい。番組を見る限り、いしいさん家側が介護業界では異色、という伝えられ方だったが、「ノーマル」側の介護業界の人は、いしいさん家側にどのような問題を感じ取るのだろう。

 昼の情報番組のトップニュースが「介護施設のとんでもない実態、身体拘束される入居者たち!」といった内容だったことがあった。暴れるから、対処として縛り付けているのだろうとその時も思ったし、今回番組で、生傷の絶えないスタッフの手を見て、 やむを得ず縛り付けているケースもあるのだろうと思った。

 しかし、よく実態を知らない人間が一端だけをとらえて大騒ぎをすると、物事の本質を見誤る。介護業界に携わる人、精神医療に携わる人の、今回の番組の感想を知りたい。

 次週は今週の続編。石井と福田の決断とは。

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

記事一覧

Twitter:@zPvDKtu9XhnyIvl

いとしろ堂

最終更新:2022/08/01 18:50
アクセスランキング

今週のTLコミックベスト5

  1. 塩対応な私の旦那様はハイスペックな幼馴染!?~トロトロに甘やかされて開発される体~
  2. 交際ゼロ日で嫁いだ先は年収5千万円のスパダリ農家~20歳、処女を弄ぶ優しい指先~
  3. お花屋さんは元ヤクザ~閉店後の店内で甘く蕩ける~
  4. 体育会系幼馴染は世界一の溺愛男子~全人類の好感度がある日見えたリケジョの私~
  5. 淫魔上司は不器用な溺愛男子~インキュバスが魅せる激甘淫夢は人外の快感~
提供:ラブチュコラ
オススメ記事
サイゾーウーマンとは
会社概要
個人情報保護方針
採用情報
月別記事一覧
著者一覧
記事・広告へのお問い合わせ
プレスリリース掲載について
株式会社サイゾー運営サイト