『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』親への禍根とゴミ屋敷「片付けられない部屋 ~ゴミの中に埋もれた思い出~」

2022/07/25 18:38
石徹白未亜(ライター)
写真ACより

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。7月24日の放送は「片付けられない部屋 ~ゴミの中に埋もれた思い出~」。

あらすじ

 26歳のみずきが暮らす都内の家賃3万8,000円のワンルームは、膝の高さほどのゴミであふれている。牛乳パックや食品の容器、ペットボトル。茶碗も洗わず使い、食卓にあるグラスはまだらのような模様がついているが、使ったまま放置して生えたカビのためだ。

 そのような生活でもみずきは洋服の洗濯だけは欠かさず、洗濯機置き場のない部屋ながら、小型の洗濯機を無理矢理設置している。部屋に並ぶ服はフリル、リボンなどがあしらわれたパステルカラーのソフトロリータ系だ。

 みずきは、東京大学の研究者であった両親が学生のときに、長男として生まれた。母について「私がいるせいで父と結婚する羽目になった」「ことあるごとに『私(みずき)の面倒をみたくない』みたいにヒステリーを起こすというか、泣き叫んでいたことがよくあったんですよ。嫌だったんだろうな、邪魔だったんだろうな、人生において私が」と過酷な幼少期を話す。友達と遊ぶことも許されず、勉強漬けの生活だったようだ。

 中学生になり両親は離婚、2014年、みずきは現役で東京大学に合格し、研究員を目指すも、このころから自分の容姿に違和感を抱くようになる。鏡も見られなくなるような生活は、女性用の服を着ることで心が落ち着き、それ以来、みずきは女装し生活を送っている。

 その後、大学院まで進んだが中退。女性服への思い入れから、みずきは現在10代に人気のアパレルブランドで働いている。会社の社長は、みずきのように女性の服を着たい男性も少なくないとのことで、「会社としてもリンクするところがある」とみずきを雇った理由を話す。

 一方で、母親からは「公務員を目指すと約束したはずです」「嘘だったんですね」「間違っていたのかもしれないけれど、そう思って教育には糸目をつけなかったつもりでした(みずきを)不幸にしようと思ったわけではなかったです」「心底がっかりしました」とLINEが届き、音信不通の状態のようだ。みずきは人とのつながりに不安を抱えており、それがモノをため込むゴミ屋敷の原因になっているのかもしれない。

 そのような中で、友人のみくも手伝い、みずきは部屋の片づけを始める。地層のように積まれたごみからは、潰れた黒いランドセルや、みずきが以前付き合っていた女性が残したヘアケア用品などが発掘される。

 その女性とはSNSで知り合い、交際後は文通を中心にやりとりしていたものの、一方的に別れを告げられてしまったようだ。みずきは、その女性に2年越しに思いをつづって投函するも、返事は来なかったと伝えられた。

 ごみの地層からは、みずきが5歳のころの小さな手形も出てきて、そこには記憶になかった母親からの優しい言葉が書かれた手紙が添えられていた。幼いみずきの成長写真や家族写真が載ったアルバムも発掘され、「大事にされていたときもあったんだろうな。僕の存在がしんどいものだったのは間違いないが、かわいがられてはいた。(母親にとって)もっとどうでもいいものだと思っていた。そうでもないのかな」とみずきは話す。

 その後、みずきの部屋は片付いた状態が続き、社長は会社が主催するファッションショーのモデルにみずきを抜てきする。

潜入・ゴミ屋敷
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