コラム
老いゆく親と、どう向き合う?

末期がんの母の思い「お父さんと一緒に過ごしたい」――30代シングル女性が選んだ、両親“最期の住まい”

2022/04/17 19:00
坂口鈴香(ライター)

 晃子さんの最期の住まい探しがはじまった。博之さんと一緒に過ごさせたいという中村さんの気持ちも理解できる。でも、晃子さんにとってはホスピスがもっとも安心できるのではないかとも思えるのだが、なぜホスピスを考えなかったのだろうか。

「ホスピスも見学はしたんです。でも、この頃の母はまだ話すこともできたし、トイレにも行けました。ホスピスだとシーンとして、母には寂しすぎるのではないか。どうしても死を意識してしまうと思ったんです。それに父が面会に行くことはできても、一緒に住むとなると、ホームのようにほかの方との交流もないし、話し相手もいないでしょう。月に60万円もかかるし、とても無理でした」

 結局、中村さんと晃子さんが選んだのは、隣県の有料老人ホームだった。24時間看護師がいて、料金的にも両親が入れるとなると、都内の中村さんの自宅近くに条件に合うホームはなかったのだ。

※ステント:体内の管状の部分(血管、食道、胆道など)を体の内部から広げる医療機器のこと

――続きは5月1日公開

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坂口鈴香(ライター)

終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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最終更新:2022/04/17 19:00
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