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『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』里親と娘、そして20年連絡のなかった実母からの手紙「ママにしてくれてありがとう~血のつながらない母娘の12年~」

2021/06/21 17:36
石徹白未亜(ライター)

 たいていの子どもなら何も考えず、当たり前のように親を頼り、信じ、甘えるものだが、あき子の子ども時代にはそれがなかった。「こんな世界に生まれてよかったのか」とまで、あき子を苦しめた実母に対し言いたいことはゴマンとあれど、当のあき子が実母と連絡が取れ「(実母が)生きててよかった」と穏やかにうれしそうに話していたので、もう部外者が言うことは何もないだろう。

 ママと暮らす未成年の子どもたちの情報は、番組でほぼ伝えられていなかったが、中には部屋に引きこもりがちな子もいるようで、あき子が洗濯物を、その子の部屋の前の廊下に慣れた様子で置いていた。番組内では美香が里親の会に参加していたが、そこではほかの里親も、引きこもりがちな子どもについて話していた。

 実の親に棄てられる、という絶望は子どもにとってどれだけ深いのだろうと思う。その後の養父母の家庭が温かいものであっても、じゃあ、これからは元気に、と簡単に切り替えられるようなものではないだろう。しかし一方で、そのような過酷な状況下にある子どもに手を差し伸べる、美香をはじめとした里親たちの姿には救いを感じた。

 厚生労働省の里親制度のホームページを見ると、平成30年時点で5,556名の児童(18歳未満)が里親の元で生活しているとある。また、里子を受け入れる「登録里親数」の推移を見てみると、昭和40年は1万8,230世帯あったが、その後は減少をたどり、昭和60年には半分以下の8,659世帯まで減ってしまう。

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