コラム
「元極妻」芳子姐さんのつぶやき103

ヤクザの数は過去最小、半グレの検挙数は過去最多! 元極妻が考える貧困と居場所

2021/04/11 16:00
待田芳子(作家)

 半グレが増えている理由は、過剰な暴排のほか、ヤクザ社会の人間関係の厳しさなどが指摘されていますが、やはり背景には差別と貧困があるようです。

 以前も少しご紹介しましたが、「怒羅権」の創設期メンバーの汪楠(ワン・ナン)さんの著書『怒羅権と私 創設期メンバーの怒りと悲しみの半生』(彩図社、2021年)には、「怒羅権」という半グレ組織の成立の過程とともに、汪さんが経験したイジメや貧困などが詳細につづられています。 

 中国の裕福な家庭で生まれ育った汪さんは、中国人のお父さんが中国残留孤児1世の日本人女性と再婚したことで日本にやってきました。

 ところが生活は苦しく、編入した日本の中学校では壮絶なイジメを受け、中国人の仲間と自衛組織を結成します。この自衛組織が「怒羅権」として暴走族となり、犯罪組織になるのに時間はかからず、最強の半グレ集団として恐れられるようになります。

 日本のヤクザが半グレの若いメンバーを求めていたことから、お互いに協力関係を持つようになり、汪さんも17歳で大手組織に所属していたそうです。事務所に寝泊まりして掃除などもする「部屋住み」になるんですが、その理由が「昭和の不良少年」と同じで、驚くと同時に「やっぱりなあ」と思いましたね。

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