コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

公立の高校受験組に負ける! 中学受験突破の息子が「中だるみ」「夜10時まで帰らず」……母の焦り

2020/05/24 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 その後、一翔君はどうなったかというと、次の英検で見事3級に合格し、補習の課題もクリアして、どうにか併設高校への進学資格を獲得した。一方で、高校に入っても、相変わらず虫取りに余念がなく、昆虫採集ハイシーズンには仲間と共に野山を駆け回るような生活を送っていたそうだ。

 ところが、そうこうしているうちに高3を迎え、部活を引退すると、一翔君は人が変わったかのように、受験勉強に励むようになったという。

 そして、その冬、見事に第一志望校の国立大学に入学した。筆者が一翔君に当時のことを聞いたところ、彼は「行方不明事件を起こした中3のとき、担任の先生に『一翔、オマエ、わかってんだろ? スイッチは自分で押せよ!』と言われたんです。だから、高3の部活引退後に、『時期が来た』と思って、自分で押しました」と笑顔で教えてくれた。

 さすがは中高一貫校、思春期の子の扱い方には優れているとつくづく感心する。親にとって至難の業である「待つ」という行為は、子どもの成長に大事なことなのだ。

鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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湘南オバちゃんクラブ

最終更新:2020/05/24 16:00
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