[女性誌速攻レビュー]「VERY」4月号

「VERY」教育虐待・不妊を語るウラで、カバーモデル・矢野未希子の“いい妻”連載がツラすぎる!

2020/03/20 16:00
中崎亜衣
「VERY」教育虐待・不妊特集のウラで、カバーモデル・矢野未希子のいい妻連載がツラすぎる!の画像1
「VERY」4月号(光文社)

 今年で創刊25周年となる「VERY」(光文社)。25年といえば四半世紀ですから、今や創刊当時の読者の娘たちが、「VERY」の読者世代に突入していることでしょう。子育て中の女性をメインターゲットに置く「VERY」は、とにかく分厚い雑誌です。ファッション、ヘアメイク、仕事・育児・家事、夫婦関係……。「VERY」でクローズアップされるテーマは多岐に渡っており、現代の子育て女性のありとあらゆる関心ごと、全てを対象にしているのかもしれません。そんな「VERY」4月号を見ていきます!

<トピックス>
◎選びひとつで、楽にも自由にもなれちゃう! 最近、オシャレは“バッグ頼み”な私たち
◎受験勉強だけじゃない、過剰な習い事も… もしかして、教育虐待?/シンマイさんと学ぶVERY世代と卵子凍結
◎今月の“いい妻”みっこ

自由どころか不自由しかない!?

 今号の大特集は「選びひとつで、楽にも自由にもなれちゃう! 最近、オシャレは“バッグ頼み”な私たち」。ママが“楽”や“自由”、そして“オシャレ”になるための必需アイテムとして、バッグが列挙されています。

 育児中のママにとってバッグ選びが重要という点に異論はありませんが、「VERY」では、“楽”とか“自由”と謳っているわりに、他人から「どう見えるか」をかなり意識していて、読んでいるとむしろ“不自由”が感じられるのです。顕著なのが「Part2 カジュアルすぎず、主張しすぎず、ちょうどいいラインが知りたい! コンサバ園ママのための、春のはじめましてQ&A ~バッグ編~」。コンサバ園ママが抱えるであろう悩みに答える形式でバッグが紹介されていきますが、バッグひとつとて「こう見られたい!」という複雑な自意識が感じられます。

 例えば、「Q.クラスの懇談会ランチの日にオシャレするなら?」――懇親会ではとにかく話しかけやすい雰囲気が大事! 今の気分が詰まったバッグなら、コミュニケーションにつながる、と解説します。また、「Q.入園式で、悪目立ちしないきちんとバッグは?」――ブランドが前面に出たものより、等身大のかっちりバッグ。目立ちすぎず凛とした母っぽさを大事にしたいママが増えている、といった具合です。“コンサバ園ママのため”という括りも関係しているのかもしれませんが、話しかけやすく見られたい、凛とした母に見られたいと、「どう見えるか」をかなり意識しています。

 別の企画「タイプ別着映える好感度ワンピを探せ」でも、“好感度”と銘打っているだけあって、「通勤姿もドラマチックに見える」「撥刺ヘルシー見えで先生ウケよし!」など、「どう見えるか」は重大事項。ただし、「楽してきちんと見えたい産後復帰ママは」というフレーズは正直でよろしい。「VERY」はママが“楽”すること自体は推奨しているようですね。 

 どうやら「VERY」におけるファッションとは、最終的に他人に“どう見えるか”が核になっているようです。もちろん、“どう見えるか”が重要という価値観が悪いわけではないですし、実際、“どう見えるか”によって承認欲求や自己顕示欲が満たされることもあるでしょうが、それって楽で自由なのでしょうか。

VERY (ヴェリィ) 2020年 04月号 [雑誌]
矢野未希子は「andGIRL」に行ったほうがいいよ~
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