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堂本剛(ENDRECHERI)“パニック障害”がテーマの新曲は、岩橋玄樹・松島聡に向けた応援ソングか

2019/08/18 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 堂本剛が今月14日、ENDRECHERI名義としてのニューアルバム『NARALIEN』をリリースした。

 昨年リリースの前作『HYBRID FUNK』以上に、堂本剛が追求してきた「ファンク」が詰まった一作となっているが、なかでも注目したいのは「Pani9 disorder man」と題された曲。これは「パニック障害」をテーマにした曲なのだ。

 「Pani9 disorder man」で堂本剛はこのように歌っている。

<Scream!!!!
もう1万日経とうとしている迷惑な調べ
Scream!!!!
この雑音で目眩踊って揺れて廻れ>
<理解ある時代に出逢ってたら もっと一緒に愛撫出来たろうに
理解ある時代に出逢ってたら もっと一緒に愛撫出来たろうに
君がこの揺れ乗ってく果てに宇宙で煌めく塵に成るように合唱祭>

 堂本剛は2003年にパニック障害を患っていることを告白した。その際には、精神的な不調によって自殺念慮を抱いていた時期まであったことを明かしている。

 この曲で彼は、パニック障害を患った人たちに対し、焦って治そうとするのではなく、「病と共に生きる」といった長い目で治療に取り組むよう歌っている。

 また、昨今ではだいぶ変化してきたとはいえ、まだ日本社会では精神的な不調を周囲に明かすことには躊躇する傾向がある。「Pani9 disorder man」にある<理解ある時代に出逢ってたら もっと一緒に愛撫出来たろうに>といった表現には、このあたりの社会状況に対するメッセージも込められているのだろう。

 「Pani9 disorder man」は、堂本剛本人がパニック障害に苦しみ、病と付き合い続けてきたからこそ書くことのできた曲であると言える。

堂本剛はパニック障害に苦しむ人への応援ソングだと明かした
 「音楽と人」(音楽と人)2019年9月号のインタビューのなかで堂本剛は「Pani9 disorder man」がつくられたきっかけについてこのように語っている。

<僕が10代でパニック障害になってから、40歳になった今に至るまで、めんどくさいことがいっぱいあるんですよ。今も症状がちらほら出る時があるからしんどいですけど、ラジオにパニック障害で苦しんでる人たちからよくメールをいただくんですよ。最初はその人たちに向けた応援ソングを書こうと思ったんですけど、よくよく考えたら、パニック障害の人への応援ソングという設定自体、ちょっとクレイジーだなと思って>
<このファンクのグルーヴに乗って、いつかこの「Pani9 disorder man」という、自分じゃない自分みたいな存在が消えていったらいいなという思いが、自然と曲になったんですよね>

 ここで堂本剛が応援しているのは、ラジオにメールを送ってくれるリスナーだけではないかもしれない。昨年、ジャニーズ事務所の後輩タレントが二人、パニック障害を公表し、活動を休止しているからだ。

「Pani9 disorder man」は岩橋玄樹と松島聡へのエール?
 2018年11月にKing & Princeの岩橋玄樹と、Sexy Zoneの松島聡の2人がパニック障害を理由に活動を休止した(岩橋は2019年2月に一部制限つきで活動を再開したが、再び不安定な状態になり活動再開を見送っている)。

 「Pani9 disorder man」は、同じジャニーズ事務所のタレントで、かつ、いまも同じパニック障害で苦しむ先輩として、彼らに向けて書いたものでもあったのではないだろうか。

 というのも、ここ最近の堂本剛はジャニーズ事務所への愛情や、自分がジャニーズ事務所のアイドルとして世に出たことへの感謝を語る場面が多いのだ。

 堂本剛は、7月9日に亡くなったジャニー喜多川氏と距離が近かったことから、ジャニーズ事務所からの退所がしばしば噂されてきた。6月27日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、彼が「ジャニーさんがいなくなったら事務所を出る」と周囲に漏らしていると報じられたばかりである。

 しかし、公になっている本人のコメントを見る限り、そういった思いは読み取ることができない。

 たとえば、こんな発言があった。ジャニー氏が亡くなった翌日には神奈川県民ホールでENDRECHERIのライブが行われたが、その舞台上でのMCで堂本剛はジャニー氏の訃報に触れた。

 彼によれば、ジャニー氏が息を引き取った9日夜は曲づくりをしていたそうだが、その際、“ジャニー氏が来た気配”がしたそうで、そのまま一緒に曲をつくり終えたという。彼はその曲について<もしうまくことが運んだらジャニーズみんなで歌いたい。『いやー、ちょっと』って言われたら、(堂本光一と)2人で歌いたい>(7月11日付ニュースサイト「週刊女性PRIME」より)と語っている。

 前掲「音楽と人」にもこんな発言があった。同誌に掲載されている音楽評論家・吉岡正晴氏との対談のなかで堂本剛は、ENDRECHERIのような作家性・趣味性の強い音楽が「ジャニーズ事務所」から生み出されることに面白みを感じており、最初は軋轢があったもののいまでは事務所のスタッフにもその面白さが理解されていることに満足しているといった趣旨のコメントを残している。

<僕にはずっと“ジャニーズ”という大きな壁があって。ジャニーズがファンクをやることが、事務所の誰にも理解されなかった……当たり前ですけど(笑)。僕は逆に、ジャニーズにいてやってるから面白いと思ってたけど、その意識がすぐに噛み合うわけもなく。今はまったく問題ないんですけど>

 このように、最近の堂本剛は、ジャニー氏への愛情はもちろん、ENDRECHERIを通じて自分のやりたいことを理解してくれるようになった事務所スタッフへの感謝、また、ジャニーズ事務所が築き上げてきた文化の蓄積に対する敬意を言葉にしている。

 そうした最近の流れを考えると、「Pani9 disorder man」の歌詞が、ジャニーズ事務所を背負う後輩2人に送ったものと考えるのも、あながち深読みのし過ぎではないのではないか。

最終更新:2019/08/18 20:00
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