インタビュー

吉本興業、地に落ちたイメージは回復できる? リスク管理の専門家が「すべきこと」を解説

2019/08/01 16:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman
吉本興業公式サイトより

 芸能界を代表するプロダクション・吉本興業のイメージが、いま地に落ちている。6月上旬、「フライデー」(講談社)のスクープによって、雨上がり決死隊・宮迫博之やロンドンブーツ1号2号・田村亮ら吉本芸人が、特殊詐欺グループに闇営業をしていたことが明らかとなった。吉本興業は宮迫、亮らに厳重注意処分を下したが、引き続きヒアリングを行う中で、当初「特殊詐欺グループから金銭を受け取っていない」としていた宮迫らの弁が嘘だったと発覚。当面は活動を停止する謹慎処分を科したものの、その後、闇営業報道が過熱する中、7月19日に宮迫との契約を解消するに至ったのだ。

 しかし騒動はここから驚きの展開を見せる。宮迫と亮が翌20日に謝罪会見を開き、その中で、吉本興業の岡本昭彦社長から「パワハラ発言があった」と告白。宮迫らは以前から会見を行いたいと主張していたものの、岡本社長に「お前らテープ(録音)回してないやろな?」「やってもいいけど全員まとめて連帯責任でクビにするからな」などと脅され、また「在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫や」と、同社とテレビ局の癒着を匂わせるような発言もされたという。一方、これを受け、岡本社長が5時間半にも及ぶ会見を行ったが、的を射ない回答が続き、特にパワハラ発言に関して「場を和ませる冗談のつもり」と弁明したことは、世間から大ヒンシュクを買ってしまった。吉本の大物芸人たちも次々と声を上げ出す中、もはやこの騒動は、いつ決着するのか定かではないような状況だ。

 こうして、世間を失望させるに至った吉本興業だが、これから信頼回復に努めなければいけないだろう。今回、リスク管理、危機管理の専門家で、フジテレビ系ドラマ『リスクの神様』の監修も務めた社会情報大学院大学教授(リスクマネジメント)でゼウス・コンサルティング代表取締役社長の白井邦芳氏に、「吉本興業が世間の信頼回復のためにすべきこと」を聞いた。

吉本が設置した「経営アドバイザリー委員会」とは何か?

 現在も混乱の中にあると思われる吉本興業だが、一連の騒動への対応は進めているようだ。6月27日には、闇営業問題について、コンプライアンスの徹底と反社会的勢力排除の方針を述べた「決意表明」を公式サイト上に掲載。また、岡本社長のパワハラ問題が発覚した後の7月25日、コンプライアンス徹底だけでなく、所属タレントとの契約の在り方、ギャラなどの諸課題に取り組んでいくための「経営アドバイザリー委員会の設置」を発表した。

「リスクマネジメントの観点から、『企業ブランドの回復』をどうするのかということを考えると、通常社外向けには、まず行動指針の発表を行います。『この件についてどのように改善していくか』を示すもので、吉本興業の『決意表明』がこれに当たります。次に管理組織の設置です。問題解決に対して自浄能力に懸念が持たれる場合、第三者の助言を得るために客観的な調査や今後の対策を管理する組織を作るのですが、これが今回の事例では『経営アドバイザリー委員会』に当たります」

 一方、社内的には、「管理組織が問題解決のためのルールを決める」ことが一般的だという。

「吉本興業においては、社員に向けてはルールを書面で規定化、タレントに向けては契約を結ぶということになるかと思うのですが、後者に関してはすでに『取り組んでいく』と公表しています。その後、管理組織は作られたルールが適正に運用されているのかを確認し、その監査結果を対外的に公表できるかが国民目線での対応と言えます」

吉本興業を創った人々
「初動が大事」という教訓を世に知らしめました
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