カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「ar」8月号

「ar」飯豊まりえとの「同棲妄想」企画……彼氏目線のコメントが、いちいちエモくて寒いワケ

2019/08/02 13:00
島本有紀子

 次に見ていく「好きだから可愛くなれる 彼と彼女のデート髪」は、男性美容師がヘアメイクを担当した読者モデルとデートしている体の写真が並んでいます。美男美女のデート風景を、11パターンも見せつけられるのです。

 デートコースは「公園」「映画」「下町」「ガード下」など身近な場所ばかり。ですが、美容師も読モも、読者が怖気づきそうなほどシャレオツなヘアとファッションなので、なんとなく様になります。それぞれに添えられたキャッチフレーズも素敵です。

「君のウエーブを風が揺らすたび“好き”の気持ちが積もるんだ…」
「ほつれウエーブに夏の光が踊る、僕だけのマドンナ」
「エアリーウエーブが夏の恋を七色に輝かせる」

 “好き”が積もったり、夏の光が踊ったり、夏の恋が七色に輝いたりと、ウエーブが大忙しです。しかし、一般人&一般人のやらせデート風景を見せるって、一体、誰得な企画なのだろう……という疑念も最後まで拭えない企画でした。

これぞ新ジャンル「エモ寒い」

 最後に見ていくのは、飯豊まりえと同棲している彼氏の目線で1日を中継する企画「飯豊まりえと過ごす夏の日(ハート) 可愛いキミのカメラロール」です。注目は、彼氏目線のコメント文。これがものすごくエモ寒く(エモくて、しかし同時にサムい)、味わいたっぷりです。

 例えば、起き抜けの姿の描写は「二の腕がふわっと見えておりまして。さらにそこに、朝陽がサーっと差し込んでおりまして、ええ、わかりますか? これを幸せと呼びます」。ええ、よくわかりません、すみません。

 またメイク中の様子は、「僕は彼女に『ねえほんと、美しいおでこランキング世界1位じゃん』とか雑に口説いて、彼女がうるさいって僕のことを軽く蹴っ飛ばしてきて、ああホント毎日この展開がいいなって」。……「て」で文章をつなげていく感じ、やっぱりエモ寒いなって。

 さらにアイスを食べるカットには、「もしかして彼女、夏の権化なんじゃないかって思うくらい似合ってるから好きという惚気です」と書かれています。ニュアンスはすごく伝わってくるものの、本来の日本語としては崩壊しているこういった文章は、短文で表現するSNS世代特有の文体なのだなあと、日本語の進化を見せつけられました。

 しかし、透明感あふれる飯豊まりえには、このような軽薄そうな口調の男に騙されず、堅実な恋愛をしてほしい、という老婆心も芽生えました。暑い夏に、清涼剤としてのこのエモ寒さ、みなさんもいかがでしょうか。
(島本有紀子)

最終更新:2019/08/02 13:00
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