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YouTuberが川崎登戸殺傷事件をネタに動画を配信 「巻き込まれた人は運が悪かった」と嘲笑

2019/05/31 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 今月28日、川崎市・登戸駅周辺で大量殺傷事件が発生し二人の方が亡くなったが、その同日中にYouTuberの「しんやっちょ」と「金バエ」が現場から動画を生配信していたことが、物議を醸している。

 「しんやっちょ」は自身のYouTubeチャンネル「しんやっちゅーぶ」に「川崎で小学生や大人が刺された襲撃事件 確保の男は刺した包丁で自害」というタイトルの動画をアップ。サムネイルは「金バエ」が「しんやっちょ」を刺すふりをしているものであった。

「巻き込まれた人は運が悪かった」と笑う
 サムネイルだけでも不謹慎極まりないが、動画での「しんやっちょ」と「金バエ」の会話はさらに酷いものだった。

 「金バエ」は<(犯人は)子どもを襲ってる時点で強くない。本来ならね、幸せそうなカップルを殺すと思うの><要するに、肉体も弱いし社会的地位もない。精神的にも弱い>と犯人像を分析。なお、「金バエ」は犯罪心理学者などではない。

 これに対し「しんやっちょ」は<大人のね、20代、30代では負けるかも知れんから。老害か子どもしか狙ってない><巻き込まれた人は運が悪かった>と笑いながら返した。

 その後、二人は事件現場から動画の生配信を始める。視聴者から炎上を心配する声が上がると、<言うても、マスコミだからって被害者にとっては関係ないからね。フリージャーナリストかメディアかの違いだから。怒られる筋合いはないからね。一緒だよ。俺たちは生放送で配信する>と発言。フリージャーナリストのつもりなのだろうか。また、彼らは偶然通りかかった子どもに対して<ここで何あったか知ってる? 怖かった?>などと質問していた。

 事件被害者や遺族、関係者の尊厳を踏みにじるようなこの動画に対して、5月31日現在、4538件のBADが付いており、597件あるコメントのほとんどが、事件をネタにして笑う二人を批判するものだ。

謝罪するも「ひとりしか死んでないから」
 多数のBADやコメントをうけ、「しんやっちょ」は29日に自身のTwitterを更新し反省の弁を述べた。

<低評価多く悪い意味で また拡散されてるなぁ……
いつもの配信の癖でニヤニヤ笑いながら 話してしまったこと後悔
真面目に取り扱えば良かった 笑いを入れる必要なかったよね
亡くなられた方がいたり
被害者がいる案件は慎重に
取り扱わないと不謹慎になる
ごめんなさい>

 けれども、同日に「しんやっちょ」が「日刊ふわっちマガジン」というYouTubeチャンネルにアップした2本の動画「動画検証 しんやっちょ!! 川崎事件の不謹慎騒動に関して語る!!」「本音 しんやっちょ!!川崎事件配信での炎上の本音を語る!!」をみると、やはり事件を軽くみていることは明らか。

 動画は28日に投稿した動画と視聴者からのコメントを見ながら「しんやっちょ」が喋るというだけの内容で、<バズりたいバズりたいという気持ちが強くて、自分を正当化してしまっているところはある><悪気はない>と釈明。しかし、視聴者からの<遺族はずっと悲しい>というコメントに<遺族はずっと悲しいってひとりしか死んでないから>と返答するなど、命を軽んじているとしか思えない。正確には犠牲者は2人だが、人が亡くなっている以上、人数の問題ではないだろう。

 また、<インターネット配信ならふざけるよ。真面目にやってもつまらないじゃん><エンターテイナーなんだから>とも発言しているが、人の命が失われた事件も彼は“エンタメ”と捉えているのだろうか。「しんやっちょ」は今月23日に新宿で発生した女がホストクラブに勤める男性を刺殺しようとした事件や、26日に元KARAのク・ハラが自殺未遂をはかった件についても、独自の考察を広げる内容の動画をアップしている。

 一方、「金バエ」も同じく同日「日刊ふわっちマガジン」に「謝罪動画 金バエ!!今日はしんやっちょと謝罪動画を撮影します・・・・・」というタイトルの動画をあげているが、<動画を消す必要もないし、謝罪する必要もない><あんなのYouTuberという存在を叩きたいだけ>と、動画に問題はなかったと主張している。

 事件を“エンタメ”として消費するような価値観が蔓延していることは確かだ。たとえば、新宿の殺人未遂事件は事件直後と見られる画像がネット上に流出し、「エモい」「犯人がかわいい」などという感想とともに瞬く間に拡散された。

 25日に愛知県名古屋市・栄の繁華街で、元暴力団組員の男が長い刃物とバールを手に男性を襲撃、殺害するという事件が発生したが、その一部始終を撮影した動画もネットで拡散。一時は「殺人動画」というワードがTwitterのトレンド入りしており、どれだけの人が興味本位で動画を探したのかがわかる。

 人の命が関わった事件は、フィクションでもエンタメでもない。そこには必ず、被害者と遺族の悲しみがあるということを忘れてはいけない。

最終更新:2019/05/31 20:00
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