コラム
何かと話題のZOZOですが……

ZOZO「3つのしくじり」! 有名ブランドとユーザーを「ガッカリさせた理由」とは?

2019/03/16 14:00
南充浩
ZOZOコーポレートサイトより

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 最近、勢いにやや陰りが出てきたと言われる、前澤友作社長率いるZOZO。今年1月末に、2019年3月期連結決算の純利益が前年比12%減の178億円になるとの見通しを発表しました。従来予想(純利益280億円)から大幅に下方修正し、07年の上場以来、初の減益決算となる見込みとなっています。また、昨年年末から、オンワード樫山、ミキハウス、4℃、ライトオン、「ノースフェイス」を展開するゴールドウインなどの有名企業がZOZOからの離脱を表明しており、メディアでは「ZOZO離れ」ではないかと言われています。これらの原因はなんだったのでしょう。さまざまな理由があるのでしょうが、今回は主なもの3つを見ていきたいと思います。

1.ゾゾスーツと組み合わせたプライベートブランド(PB)のがっかり感

 1月末の発表では、PBによる赤字は通期で125億円とのことです。また、初年度売上高目標に200億円を掲げていましたが、これを30億円に下方修正しています。要するに当初の見込みほどPBは売れなかったということです。

 PB発表時の目玉となったのは体型計測用のボディスーツ「ゾゾスーツ」で、当時、ネット上ではすさまじい盛り上がりを見せました。自分で計測することによって、正しいサイズがわかるようになり、試着できないネット通販でもサイズ選びに失敗しにくくなると話題になりました。またそのサイズデータを活用してPBをオーダーするという未来的構想に多くの人が熱狂したのです。

 しかし、当初に発表した計測用ゾゾスーツは何カ月たっても配布されないままで、唐突に計測方式を変更した新型ゾゾスーツの配布に切り替えられました。この新型ゾゾスーツの計測精度が高ければ何の問題もなかったのですが、決して高いとはいえず、採寸間違いが多発し、ユーザーのクレームがSNSを通じて拡散されました。ネットの評判の影響を受けやすいというのは、ネット通販のデメリットの一つでもあることが周知されたと言えます。

 それでも熱心なファンはまだまだ諦めておらず、その直後に発表されたPBのオーダースーツで熱狂はピークに達したと感じられました。とはいえ、計測システムそのものが変更されていないままですから、スーツでも「大きすぎる」「小さすぎる」「丈が短すぎる」などの採寸間違いによるサイズの不具合が多発。これによって期待感は完全に沈静化してしまいました。

 1月末の発表では、その時点のPBの売上高は22億6000万円でしたから、残り期間がたったの3カ月では目標である200億円に到達しないことは火を見るより明らか。30億円への下方修正は当然の結果だったといえます。

 また、昨年12月には保温肌着「ZOZO HEAT」を発表し、年が明けてからはPBの新製品としてチノパン、スエットパーカを発表しましたが、いずれも昨年のジーンズ、Tシャツ、オーダースーツなどの熱狂には遠く及びません。ネット上を見る限り、ZOZOHEATはそれほどの話題にならず、年が明けてからのチノパン、スエットパーカは輪をかけて注目されていないようです。すでに計測データを利用してジャストサイズの服を着られるというユーザーの期待は霧散してしまっているのでしょう。

 ZOZOHEATに限っていえば、12月上旬に発表するのではタイミングとして遅すぎます。ユニクロのヒートテックに限らず、各社の保温肌着は遅くても10月頃には告知・店頭投入が完了しています。特に18年秋冬シーズンは暖冬でしたから、保温肌着というジャンルそのものが苦戦に終わりました。チノパン、スエットパーカは別段驚くほどのギミックや機能性があるわけでもなく、価格も4,900円なので、それほど安いというわけではありません。ユニクロのチノパンとパーカは2,990円なので、やはり見劣りしてしまいます。

 そもそもPBの商品群そのものにも疑問を感じさせます。ZOZO自身、主要顧客層は若い女性と発表していますが、PBの商品群は男女共通アイテムもあると言いつつ、Tシャツ、ジーンズ、ワイシャツ、スーツ、チノパン、スエットパーカと、メンズ色の強い商品ばかり。主要顧客層とのミスマッチではないでしょうか。

 今後、よほどの機能性商品や割安感のある商品を発表しないと、PBはさらに苦しい展開を強いられることになると考えられます。

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