カルチャー
インタビュー【後編】

「『私はADHDだから』と開き直らないで!」精神科医が“自称ADHD”たちに伝えたいこと

2019/01/20 17:00

――ADHDの人に対して、どう接すればいいのかも知りたいです。例えば、同僚がADHDの特性を持っていて、仕事上のミスが多く、困っているという人は少なくないのではないかと思います。

司馬 「なぜできないのか?」と叱るのはよくないです。本人と相談しつつ「あの仕事はどうなってる?」「今日は〇〇の予定だよね」などと、確認やリマインドをするといいでしょう。例えば、ADHDの人が資料作りをする際、4分の1の工程でどうなっているか聞いた方がいいでしょう。そうしないと「締め切りが明日なのに終わらない!」といった状況に陥り、結果、周りも迷惑することになります。ADHDの人は、“先延ばし”と“忘れる”が同居しているので、「普通、大人相手にそこまで確認しないよね」ということでも、確認した方がうまくいくと思います。

 最近は小学生までもが、友達に対して「ADHDなんじゃない?」といった言葉を使うなど、“よくないイメージ”がつきまとっている面もあり、それはよろしくない傾向ですが、その半面、ADHDの子どもが、周りから配慮してもらえるようになって「困ることが減ってきた」という話を聞くこともあります。ADHDの理解がより深まればいいなとは思いますね。

――ネットなどでは、ADHDと診断されていないまま「自称ADHD」と発信している人も増えたように感じるのですが、そのことについてどうお考えですか?

司馬 例えばそれで、「私はADHDだから○○ができません」と言うなど、ADHDを“言い訳”に使う人がいたら、「それってどうなの?」と思いますよね。チェックリストを見て、ただ自分は当てはまると思っているだけの人や、言い訳に使っている人は、自分はADHDであるという認識を“活用できていない”のです。ADHD関連の本を読んで、使えそうなやり方を試してほしいと思います。

 自己肯定感の低さをどうしていくべきか、周りに迷惑をかけないようにするにはどうすればよいのか――そういったことを考えられるようになることこそ、ADHDを知る意味であり、大事なことなのではないでしょうか。
(取材・文=池守りぜね)

司馬理英子(しば・りえこ)
1978年 岡山大学医学部卒。医学博士。1983年に同大学大学院卒業後、渡米。アメリカで4人の子どもを育てながら、ADHDについて研鑽を積む。1997年『のび太・ジャイアン症候群』(主婦の友社)を上梓。同年帰国し、司馬クリニックを開院。中学生までの子どもと大人の女性を専門に、治療を行う。

最終更新:2019/01/22 19:28
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