カルチャー
精神保健福祉士/社会福祉士・斉藤章佳さん×ライター・姫野桂さん対談(後編)

万引き依存症と発達障害から考える、現代人に普遍的な“生きづらさ”解決策はあるのか?

2018/10/19 15:00
精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さん(左)とライターの姫野桂さん

 生きづらさを少しでも和らげるには、社会に適応できるかたちを見つけるしかない。それは犯罪行為を繰り返す万引き依存症や先天的な脳の障害による発達障害にいえることだが、そうでない人にも共通する解決策かもしれない。『万引き依存症』(イースト・プレス)の著者である精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんと、『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(同)のライターであり、自身も発達障害当事者であることをカミングアウトした姫野桂さんによる対談。後編では、生きづらさをどう乗り越えるかについて聞いた。

前編はこちら:「万引き依存症」と「発達障害」の生きづらさとは? ひとごとではない問題の実態)

■自分の得意・不得意が見えると楽になる

斉藤章佳さん(以下、斉藤) ご著書でもカミングアウトされているように、姫野さんは発達障害当事者でいらっしゃる。また対談の前編では、社会人1年目のときにアルコール使用障害に近い状態になったとお話しいただきました。しかし退職後は、フリーランスのライターとして、ご自身でしっかり生計を立てて、また新たな仕事に取り組むという好循環でご活躍されている。発達障害があるといえども、十分に社会適応されていると、私は感じます。同じ選択をしても、フィットする仕事が見つからない人は決して少なくないですから。

姫野桂さん(以下、姫野) 私の場合はライターという仕事が合っていたので、なんとかやってこられたんだと思います。実際、酩酊状態までお酒を飲んでいた状況から抜けられたのは、転職して環境を変えたことがきっかけでした。とはいえ退職した当時は、ライターで食べていけるかわからないにもかかわらず、60万円しか貯金がないのに会社を辞めてしまったので、周りからはすごく心配されました。もしもライターの仕事が合っていなかったら、ライターになる前以上に、また今以上に生きづらくなっていたと思います。

斉藤 今も、生きづらさは感じているということでしょうか?

姫野 ええ。でも以前に比べれば、ずいぶん楽になりました。『私たちは生きづらさを抱えている』の第2部は、私が心療内科を受診したときの心理検査のレポートにしました。もともと極端に計算ができないのでLD(学習障害)ではないかと思っていて、実際に検査を受けたら、案の定でした。どれくらい計算ができないかというと、フリーランスになって確定申告をしたときに数字を大きく間違えていて、業務に支障が出たこともありました。でもLDだったと検査でわかってからは、税理士をつけています。自分の得意な部分と得意じゃない部分が数値化されるのは、やはり大きい。検査でなくても、得手不得手を自分でノートに書き出すのもいいでしょう。まあ、できないと認めるまでが大変なんですけどね。「自分はそんなはずない」と、どうしても思ってしまうので……。

斉藤 すごくわかりますよ。万引き依存症のような行為プロセス依存ではありませんが、サッカーを本格的にやっていた高校生から20歳前後の5年間ほど、私はチューイング(食物を口にして咀嚼してから吐き出す行為)に耽溺していました。これは食習慣に依存する物質依存です。そこから抜けられたのは、サッカーから離れたことと依存症治療の仕事をするようになり、自分の弱さを認められたことがきっかけでした。正確には、ある種自分にとっては生きるか死ぬかの状況に直面して、依存症を受け入れていったわけです。

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