コラム
長期不倫ルポ「私たちってヘンですか?」

W不倫15年、彼が脳梗塞で帰らぬ人に――「彼の最期に立ち会ったのは私」と語る女の胸中

2018/03/28 21:00

 気持ちを確かめ合ったものの、2人はその先に進むのを躊躇した。そしてその頃、ミヤさんは2人目を妊娠していることに気づく。

「彼に言えないまま仕事を続けて……。5カ月に入ったところで職場の調整もあるので、ようやく公にしました。そのときの彼の目が妙に寂しくて。後から聞いたら、またしばらく会えなくなるのがつらかった、と。私も同じように思っていました」

 2人目のときは育児休暇をとらなかった。早く職場復帰したかったからだという。それまで控えていた夜勤も、子どもが1歳になる頃には引き受けるようになっていた。

「夜勤でリョウイチさんと一緒に勤務することがあった。もちろん仕事ですが、やはり話す時間が格段に増えて、うれしかったですね。お互いの気持ちは変わってないとわかり、とうとう夫に夜勤だとウソをついて、彼とホテルへ行ったのが、私の33歳の誕生日だったと思います」

 3年越しで思いを遂げた2人。ついに1つになれたという感動は深かった。だが、思いがかなえば次の心配が出てくるものだ。

「やっと結ばれた。でも私たち、これからどうするの、と思いました。このまま関係を続けていってお互いの配偶者にバレたらどうなるのか。そもそも、この関係が続くのか。私たちはどこを目的に進んで行ったらいいのか……。それでも、あえてそんな言葉は口にせず、時間を作っては会いました。会うことだけ、1つになることだけが目的のように。私は彼とだと、快感が止まらない。体も心も燃えて燃えて。夫ともたまにはしましたが、こちらは癒やしのセックス。夫に悪いとは思いませんでした。彼は彼、夫は夫、心の中でまったく違う存在だと分けていたような気がします」

 週に何度も会って愛と快感を確認しあう日々が、しばらくすると少し落ち着いてきた。そこで2人は、あらためて話し合った。

「私は子どもたちが何よりも大切。2人を大人にするまでは何もできない。でも、あなたとの時間も大事。だから苦しいと泣いたんです。すると彼は、『わかった。とにかく今は家庭を優先させよう。ミヤの下の子が就職して独立したら、一緒になりたい』と言ってくれたんです。うれしかった。もちろん、それまでの間に互いの愛情がなくなれば別ですが、私たちはちょっとやそっとでは別れないと思っていた。彼も同じ気持ちだと知って、本当にうれしかった」

 5年、10年と時は流れる。子どもたちは小学校に入り、中学を卒業し、年々、大人になっていく。その頃、ミヤさんは職場を変えた。彼と毎日会えなくなった分、メールで毎日連絡を取り合うようになった。そして、気づいたら15年という時間が流れていた。

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