コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

豊田真由子議員、謝罪会見で「夫と仲良し」発言の意味――「結婚=人格者の証拠」への違和感

2017/09/21 21:00

 政治家であれ、芸能人であれ、人気商売をする人にとって、尋常じゃないヒステリーな人、パワハラをする人というレッテルを貼られるのは、まぎれもなく損である。その“疑い”を晴らすため、“容疑者たち”が取る行動の1つが「夫(妻)と仲良しアピール」である。

 例えば、豊田議員は会見の服装を見てみよう。黒いスーツにピアスもネックレスもない神妙ないでたちだが、よく見ると左手の薬指に二種類の指輪をしていることに気付く。立爪系のダイヤとシンプルなプラチナ系のリングは、婚約指輪と結婚指輪と推察することができる(ちなみに、この組み合わせは、夫婦仲良し売りをする君島十和子もよくしている)。

 指輪が本当に婚約指輪と結婚指輪の組み合せだったと仮定すると、これらは「結婚している」「婚約指輪を大事にするくらい、夫を大事にしている」というメッセージであると見ることもできるだろう。実際、豊田議員は、会見の際に夫とのエピソードを披露し、「16年連れ添っている、今も仲の良い夫がいるんですけれど、『あんな声聞いたことがないぞ、合成されたんじゃないか?』(と言っていた)」というふうに、夫の発言を借りて証言してみせた。

 夫や子どもには温厚でも、部下にパワハラする人はいるわけで、夫の“証言”はあてにならない。そんな理屈を天下の東大法学部出の豊田議員がわからないはずもない。豊田議員は、夫の存在を明らかにすることで、「夫に愛されているのは、性格がいい証拠」と訴えたかったのではないだろうか。豊田議員は、結婚を「人格に難がない証明書」と捉えているように、私には感じられるのである。

 ちなみに豊田議員は、2014年に園遊会に夫と共に招待されたが、当日は母親を伴って姿を現したと「産経新聞」が報じた。夫婦仲が良いのなら、なぜ一緒に参加しないのだろうか。こういった公式行事の時は、仲が良い悪いは別として、行動を共にするのが一般的ではないだろうか。園遊会事件には続きがある。宮内庁は母親の参加を拒否したものの、豊田議員は「母親が配偶者である」と強弁したそうだ。この言い訳もさることながら、宮内庁に断られてもそこに居座る母親も、かなり常識はずれではないだろうか。

 結婚すること、母親になることを神聖視し、“人格者の証拠”と見る傾向が日本には強い気がする。その考え方は、「結婚し、母親になった女性が上」という序列づけにつながっていく。豊田議員が明らかにしたのは、特定の秘書へのパワハラではなく、女性全体が受けているうっすらとしたハラスメントのように思えてならない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2017/09/21 21:00
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