コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

“ご意見番”と化した千秋に見る、「年下女子から相談されやすい女」の特徴

2017/06/29 21:00
『人見知りだった千秋が付き合い上手になった 魔法の法則16』(中央公論新社)

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「悩みがいろんな人から来るから、早く処理していかないと間に合わない」千秋
『ウチくる!?』(フジテレビ系、6月25日)

 芸能人は、“いい人”と思わせるのもおシゴトである。

 かつて工藤静香がいろいろなバラエティ番組で「〇〇ちゃん(酒井法子やTRFのCHIHARUなど)が、この間、うちにご飯食べに来たのね~」と例の口調で話していたが、これは「〇〇ちゃん」の話をしたいのではなく、「仲のいい友達がいる(それは私が好かれる性格である、華麗なる人脈を持っている)」「ご飯を食べにくる(おいしい料理を作れる腕前を持つ)」アピールである。

 しかし、芸能人といえども、工藤のように“自分褒め”をするタイプはもはや絶滅寸前で、基本は、「後輩に、先輩のいいところを言わせる」のが主流である。例えば、6月25日放送の『ウチくる!?』(フジテレビ系)で、今年3月に離婚したタレント・小倉優子が、同じく離婚を経験(現在は再婚)した千秋について、「今日もLINEした」「いろいろ、ご相談に乗っていただいている」と、頼れる先輩であると紹介。ちなみに番組アシスタントの中川翔子も、千秋に相談を持ちかけることがあるそうだ。

 相談をたくさんの人に持ちかけられることは、人望があるということだろう。また、相談への対応が、(相談者にとって)的外れなものであれば、二度と相談されなくなる可能性があることを考えると、繰り返し相談される人は、相談者の心をつかむと考えられる。つまり、相談される人は、人望があるだけでなく、頭が良いともいえるので、千秋もこの“相談されポジション”がまんざらではないらしい。小倉や中川が言うには、千秋のLINEは返ってくるのが早いそうだが、千秋はその理由を「悩みがいろんな人から来るから、早く処理していかないと間に合わない」と“顧客”の多さを思わせる返しをしている。

 “不思議ちゃんキャラ”としてデビューした千秋だが、最近ではいつのまにか、ご意見番キャラにシフトして、芸能界を生き延びている。子ども服ブランドやパワーストーンのプロデュースに成功するなど実業家としてのセンスも高いようだ。プライベートでは、ココリコ・遠藤章造と結婚したが、離婚。シングルマザーを経て、現在は15歳年下のTBS局員と再婚している。豊富な人生経験と、ビジネスウーマンとしての才覚、再婚相手の見つけ方……不思議ちゃんキャラとしてデビューし、シングルマザーとなり、子どもと一緒にいられる時間を確保するために副業を考えているであろう小倉にとって、同じような経験をしている千秋を頼りにするのはわかる。しかし中川を含め、千秋とは、芸能界での立ち位置、私生活における境遇などがまったくかぶらない芸能人が、どこまで千秋に本気で答えを求めているかは、わからないというのが実状ではないだろうか。

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