カルチャー
ギャンブル依存症問題を考える会 代表・田中紀子さんインタビュー

「ギャンブル依存症には遺伝的要素も強い」祖父、父、夫も陥った経験者が語る恐ろしさ

2016/12/30 17:00

■予防教育は、子どもが親の依存症に気づけるというメリットがある

――今後、カジノができることになったら今のうちから対策が必要とのことですが、どのような対策をすべきだと思いますか?

田中 まずは、依存症の正しい知識を国民に行き渡らせることが大切ですが、それは至難の業です。きちんと関心を持って聞いてくれる方ならばいいですが、「何言ってるの? なんでも病気のせいにするなよ」とか「自分を正当化している」と言う人もいるんです。そのような人たちの周りにギャンブル依存症の人が出たら悲惨ですよね。その人に説教をして終わりで解決策になりません。

 否認している人たちにも「なるほど、こういうことなのか!」と思わせるにはどうしたらいいかなと、いつも考えています。わかってくれる人たちも少しずつ出てきていますが、やはり啓発が一番難しいです。私としては、中学生くらいから予防教育を始めた方がいいと思っています。

――喫煙者が減っている理由の一つに、予防教育の効果があったともいわれています。ギャンブル依存症についても、子どもの頃から予防教育をすれば、減る可能性はあるのでしょうか?

田中 そうですね。でも、予防教育は当事者本人にはあまり効かないと思っています。ダメだと教えられてもやる人はやりますから。予防教育の一番のメリットは、自分の周りで依存症になった人がいても巻き込まれないで済むという点です。また、親が依存症だということに子どもが気づけるというのも大きいと思います。ギャンブルで子どもの奨学金を使ってしまうような負の連鎖を防げるよう、子ども自身に知識を与えるのは大事だと思います。周りにお金を貸しちゃう人がいると、不幸の連鎖が止まりません。

――田中さんは、ギャンブル自体は悪い物ではないとおっしゃっていましたが、ギャンブルとうまく付き合っていくためにはどうしたらいいと思いますか?

田中 それはすごく難しいとは思うのですが、対策の一つとしては、回数と金額を制限するものがあればいいなと思います。その月の決まった額を入金して、使い切ったら制限がかかるといったカードのようなものですね。あとはやはり、依存症という病気があり、誰でもなる可能性があるということを知っておくことです。

 また、これはあまり知られていませんが、アメリカの医学会ではギャンブルにはまりやすい遺伝子が見つかったと発表されていますが、遺伝的要素も強いです。一番の予防はギャンブルをやらないことなので、「そう言えば父親が株にハマっていたな」とか「おじいちゃんがパチンコで身上を潰したな」といった心当たりのある方は、ギャンブル自体を避けるという方法もありますね。
(姫野ケイ)

田中紀子(たなか・のりこ)
ギャンブル依存症問題を考える会」代表。競艇・カジノにハマったギャンブル依存症当事者。祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻。著書『三代目ギャン妻の物語』(高文研)『ギャンブル依存症』(角川新書)。

最終更新:2016/12/30 17:00
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