あなたはどんな女が嫌い? 「女が嫌いな女」の話題が盛り上がる理由

◎「女とは、女が許せない生き物である」

男にモテる女が、同性にも好かれるとは限らない。男にちやほやされるタイプの女を“ぶりっ子”と感じ、男に媚びているとして嫌う女もいる。男から見た女と、女から見た女の評価が正反対であるのは、往々にしてよく起こる現象である。「同性から嫌われる女」は確実にいるのだ。

二宮和也がMCを務めるバライティ番組『ニノさん』(日本テレビ)でも、12月4日の放送で「女が嫌いな女たち」というテーマに迫り、大きな反響を呼んだ。同回の内容は、街頭インタビューや、ゲストの青山テルマ、いとうあさこ、岡本夏美、菊地亜美、高橋真麻、MEGUMIによるコメントをもとに、同性から嫌われる女の特徴をつまびらかにしていくというもの。

番組内で紹介された、SNSで嫌われる女の投稿は、こんな感じである。

・女子力をアピールする
・弟を「イケメン彼氏」と紹介する
・ハッシュタグがやたら長い
・芸能人ぶる
・わざと顔がでかい友達と写真を撮る

やたら長いハッシュタグとは、「#今日も #楽しかった #HAPPY #LOVE #同期 #一生の仲間」といったものだそうだ。たしかに、うっとうしい。そのほか、「『別に悪口じゃないんだけどさ』という言葉を使う」「『私って○□○□じゃん?』って言ってくる」などの言動が紹介されると、スタジオの女性ゲストたちから共感の声が上がった。「ペンギン歩きをする女」について「かわいい」と発言する二宮に、「だから男は……」と非難が集中する場面もあった。

同番組では、「女とは、女が許せない生き物である」という煽り文句が使われている。街頭インタビューに登場した女子高生3人組は、嫌いな女の愚痴を話すために集まったのだというから驚きだ。「女が嫌いな女たち」は、女からの共感を集めやすいテーマなのかもしれない。

◎『an・an』で勃発した、ある騒動

その証拠に週刊誌や女性誌でも、「女が嫌いな女」というテーマは頻繁に扱われてきた。

『週刊文春』(文藝春秋)は、2016年11月3日号で「女が嫌いな女」のワースト50を発表。1位は和田アキ子、次いで、ベッキー、蓮舫、藤原紀香、工藤静香、泉ピン子、安藤美姫、久本雅美、上西小百合、高畑淳子がトップテンにランクインされた。ベッキーはいうまでもなく、このランキングの発表元である“センテンススプリング”のスクープによって、人気バンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音との不倫が明らかになり、同性からの反感を買ってしまった経緯がある。

しかし、2015年にも24位にランクインしていることからもわかる通り、潜在的な“アンチ・ベッキー”は以前からいたようだ。2013年には、お笑い芸人・有吉弘行がつけた「元気の押し売り」というアダ名を引き合いに、「作りものではない等身大のベッキーを見せることができれば女性からの好感度が上がるのかも?」と寸評されている。その後、同誌によって「等身大のベッキー」が嫌というほど世間に晒されることになろうとは、この時は誰も想像していなかった。

ちなみに、『週刊文春』の「女が嫌いな女」特集は、今年で11回目を迎えたそうだ。筆者が調べた限りでは、『an・an』(マガジンハウス)も1991年から女性読者が選んだ「好きな女、嫌いな女」に関する特集をたびたび掲載している。こうしたネタを求める読者が、それだけ多いのだろう。

ただし、『an・an』には好きな女には順位をつけているのにもかかわらず、嫌いな女は「順不同」で掲載するといった手ぬるい一面がある。女性芸能人に気を使ったのだろうか。漫画家のまついなつきは、『an・an』の座談会に参加した際、女性芸能人への否定的なコメントが改変されてしまったなどと訴え、その経緯を1994年9月号の『宝島30』(宝島社)に発表。その後、同年11月号の『マルコポーロ』(文藝春秋)で、「『アンアン』では絶対に読めない。『女が嫌いな女』決定版」と題した座談会をナンシー関、町山広美とともに改めて行うという騒動も起こった。

「女が嫌いな女」を巡って女たちが揉めるというなんとも名状しがたい形になったわけだが、このテーマが人々の耳目を集め続けてきた歴史の一幕として、象徴的な出来事だと言える。

こうした特集から言えることは、「その時代に注目された女性が、ランクインする傾向がある」ということだ。今年でいえば、不倫騒動のベッキー、二重国籍問題の蓮舫、SMAP解散の一因と噂された工藤静香、息子が逮捕(後に不起訴)された高畑淳子といったネガティブな面々だけではなく、売れっ子として注目された芸能人もワースト50にランクインしていた。つまり、「注目と嫌悪は紙一重」なのだ。さらに、『週刊文春』によると、第1回目の特集から共通している嫌われの王道は、やはり「ぶりっ子」だという(第1回のトップはさとう珠緒)。

その点、和田アキ子だけは、ぶりっ子なわけでも、その時代にことさら注目されたわけでもなく、安定して名前が挙げられている。まさに“アッコにおまかせ!”といったところだろうか。

◎女は人を見る目が厳しいが、自分を見る目は甘い?

雑誌による「女が嫌いな女」特集は枚挙にいとまがないが、そのなかでも特に詳細な分析を加えているのが2012年6月4日号の『PRESIDENT』(プレジデント)だ。ビジネス誌だけあり、「職場において」という状況に限定された内容ではあるものの、現代においてどのような女が同性から嫌われるのかが、1000人のアンケートによって明らかになっている貴重な資料である。

まず目を引くのが、67.2%の女性が「女の敵は女だと思うことがある」と回答していること。さらに、「女性上司とはやりにくいと思う」と回答している男性は39.2%であるのにもかかわらず、女性がそう感じている割合のほうが43.4%と高いということである。アンケートからは「女性同士のほうが相性が悪い」ことがうかがえる。また、「育休など女性の権利を主張する」女が嫌いな割合も、男性より女性のほうが7ポイント高く、50.8%にものぼっていた。

同誌で「嫌われる女の行動」として8割以上の女性から指摘されている項目は、合計で15点ある。ただし、大半は「自分の失敗を認めない」「思い通りにならないと途中で投げ出す」といった、男であろうと、女であろうと関係なく嫌われる行動が挙げられており、ここで、むしろ注目しなければならないのは回答の内容ではなく、その「回答傾向」のほうにある。

というのも、男よりも女のほうが相手に厳しい評価を下す傾向にあり、さらには「自分も同じことをしているかもしれない」と自覚している割合が低いことがわかっているからだ。

たとえば、94.6%が嫌いと判定した「周囲の足を引っ張ろうとする」女が職場に出没する率を聞いたところ21.4%だった。しかし、「実は自分も」と感じている自覚率は2.8%しかない。明らかに、矛盾する結果だ。同じく87.4%から批判された「涙を武器にする」女も、出没率は22.0%で自覚率は4.0%だった。同誌はこうした結果から、「女性は同性にも異性にも厳しい。一般的に男性よりモラルが高いからだ。ただし、自分を見る目は甘い」と分析している。

嫌いな女は、自分の嫌いな部分を持っている

なぜ、そのような現象が発生するのか。『週刊女性』(主婦と生活社)2015年8月4日号に掲載された特集「女に好かれる女、女に嫌われる女」のなかで、漫画家の倉田真由美は「女性が選ぶ本当に嫌いな女性は、自分の恥ずかしい部分を兼ねている」という金言を残している。つまり、目を背けたい自身の性格や特徴に対して、同族嫌悪を抱く女が多いのである。

そう考えると、ぶりっ子、女の武器といった“女性性”をあざとく発揮する言動や、「女性の権利を主張する」行為に対して反感が集まりやすいのもうなずける。自身の中の女性性に対する複雑な感情が、相手が発揮する女性性に敏感に反応してしまうのだ。普段は押し込めている「自分の恥ずかしい部分」を臆面もなく出している女が痛々しい。相手を嫌う要素が、自分を映す目を背けたい一面だからこそ、「自分を見る目は甘い」という矛盾した状況に陥る。

SNSで女子力をアピールして、弟を「イケメン彼氏」と紹介し、やたら長いハッシュタグをつけたくなってしまう自分がどこかにいる。しかし、それは恥ずかしいことであり、それを堂々とやる女はどうかしていると感じる。そうした抑圧から解放されて思うままに投稿できるようになれば、「#今日も #楽しかった #HAPPY #LOVE」な毎日が送れるかもしれない。

もちろん、これは一つの仮説に過ぎないし、同族嫌悪だけではないことは承知しているが、どうしてその性格や特徴を「自分の恥ずかしい部分」と感じてしまうのかについて分析することは、現代の女性が置かれている環境を考えるうえで意味がある。逆の見方をすれば、女性が「どんな自分の一面を恥ずかしいと思っているか」を知るパロメーターになるからだ。

「どんな女が嫌い?」と質問することは、「自分のどんな部分が嫌い」と聞いていることとイコールであり、「女が嫌いな女」とは、自分の恥ずかしい部分を持っている存在なのである。

「女が嫌いな女」が、悪い女という意味での「悪女」を意味するのだとしたら、「悪女」は自身のなかにこそ存在する。その悪の基準(プレジデント風に言うとモラル)は、どういったものに規定されているのか。どのような外的要因があり、どのようにしてそれが内在化されていくのか。そういったことについて考えることが、当連載を執筆する目的の一つである。

(宮崎智之)

■ 宮崎智之
東京都出身、1982年3月生まれ。フリーライター。連載「『ロス婚』漂流記~なぜ結婚に夢も希望も持てないのか?」、連載「あなたを悩ます『めんどい人々』解析ファイル」(以上、ダイヤモンド・オンライン)、「東大卒の女子(28歳)が承認欲求を満たすために、ライブチャットで服を脱ぐまで」(Yahoo個人)など、男女の生態を暴く記事を得意としている。書籍の編集、構成も多数あり。

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