コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

性適合手術を受けたKABA.ちゃん、ダメ出しをする両親の言動に欠けていたモノ

2016/09/29 21:00

 KABA.ちゃんが、「親は無条件に子どものことを受け止めるはずなのに、なぜうちはそうではないのか? ほかの男の子どもだから愛されなかったのでは?」と筋道立てて考えているのに対し、江角の主張は「親は子を愛している、だから分かり合えるに決まっている」の一点張りで、子ども側の話を聞こうとしないのだから、平行線だ。

 江角といえば、マネジャーに命じて、子どもが同じ学校に通う長嶋一茂の家に「バカ息子」と落書きをさせたと「週刊文春」(文藝春秋社)が報じた(江角はマネジャーが勝手にやったこととブログで釈明)。どういう経緯で落書き事件が起きたのか、第三者には知る由もないが、その余波を受けて、江角の子どもたちは転校を余儀なくされたという。

 また、江角は『中居正広のミになる図書館』(テレビ朝日系)で、「自然な生活」について語っていた。子どものために掃除機や電子レンジは使わない生活をしているそうだが、専門家は、掃除機や電子レンジを使った方が衛生的で栄養価も高いと指摘。「自然な生活」は結果として、子供のためにならなかったということになる。

 何が言いたいかというと、子育てに自信満々の江角だって間違いを犯すし、子どもに迷惑をかけているということだ。子どもを愛しているからといって、完璧な人間にはなれるわけではないし、そんなつもりがなくても、不可抗力的に子どもを傷つけることだってある。だとしたら、大事なことは“謝罪する”ことなのではないだろうか。KABA.ちゃんの母は、「心の中にいつも悪いことをしたという気持ちがある」と言っていたが、少なくとも番組中、謝罪のニュアンスのある言葉はなく、全体的にダメ出しが目立った。

 アメリカの神学者、ラインホルド・ニーバーは「変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ 変えることのできないものについて、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ」と言った。KABA.ちゃんは性別を変え、かつオトコだオンナだと棲み分けする芸能界を「私が変える」と宣言した。KABA.ちゃんならやれるのではないかと思う。しかし、変えられないものもある。KABA.ちゃんにとって、それは両親なのではないだろうか。幸いKABA.ちゃんには友達がいるし、性別を変えたことによって、KABA.ちゃんは男性と結婚することも可能になった。自分の意志で新しい家族を作ってほしいと思った。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2016/09/29 21:48
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