コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

春風亭昇太は、“結婚していない”を武器にする落語家――『笑点』で見せた「ナメられ力」

2016/08/04 21:00

 独身の昇太は、もちろん魅力のない人物ではない。『笑点』の新司会就任の1年前、女優・吉田羊がブレイクした際、昇太は吉田の「友人」として『ぴったんこカン・カン』(TBS系)などのバラエティに出演したのだが、吉田は「私が昇太さんのファン」「私が50歳になっても独身だったら、『結婚しよっか』という話をしている」と明かした。昇太は「覚えてない」としつつも、
かなりうれしそうだった。美人女優から結婚を迫られるとは、それだけ魅力的な存在であるという裏付けになるだろう。

 男女問わず、「〇歳になって独身だったら、結婚しよう」という提案をする(される)ことは、よくあることである。ジュリア・ロバーツ主演の映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』では、元カレに「28歳の誕生日までにお互い独身だったら、結婚しよう」と言われていた料理評論家の女性ものの、元カレの誕生日3週間前に呼び出され、「プロポーズか!」と身構えるが、実は違う女性との結婚を報告されて、椅子から転げ落ちるという展開を迎える。

 また、番組名は失念したが、バラエティ番組で、オアシズ・大久保佳代子が長いつきあいの男性に「30歳になって独身だったら、結婚しよう」と提案されたが、いざ30歳になっても進展せず、「35歳になったら」と契約延長を申し出られ、「なんなの?」と怒ったエピソードを披露していた。

 「もし〇歳まで独身だったら、結婚しよう」という提案は、気心のしれた間柄でなされるもので、された方は、「仮プロポーズ」と解釈することが多い。しかしこの提案、相手が自分にある程度気があること、かつ相手が数年後も1人でいる可能性が高いと解釈しているからこそできるという意味で、相手をナメてるのである。

 その証拠にといってはなんだが、今年の春に吉田の熱愛が報じられたが、相手は昇太ではなく、Hey!Say!JUMPの中島裕翔であった。

 しかし、このナメられ力こそ、昇太の魅力。私には何が面白いのかさっぱりわからないが、『笑点』は高視聴率を記録している。今後もがんがんナメられて、ますますの活躍を期待したい。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、また最新刊『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)が8月2日発売。
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最終更新:2016/08/04 21:00
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