コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み隔週報」

「金目当てやない」やしきたかじん、年下妻への絶対的信頼に見る“自分好き”男の生態

2014/11/15 15:00

 たかじんは、夫人についてこう書いている。「金目当てやない」。これは逆に言うと、「金目当ての女は嫌」ということ。つまりたかじんは、夫人が「有名人だと知らなかった」と言ったことで、彼女を「金目当てでないから、信頼できる」と思ったわけである。

 大金を稼ぐことができる男性というのは、非常に魅力的である。女性に置き換えてみると、けた外れの「美」がそれにあたるだろう。しかし、女性が「美しさ目当ての男は嫌」と言うことはほとんどない。これは男女の「魅力」に対するとらえ方が違うからではないだろうか。女性にとって美という魅力は、愛されるための「武器」であり、手足と同じように、自分の体の一部と捉えている。しかし、たかじんをはじめとした有名人男性は、「稼ぐ」という魅力を持ちながらも、金目当ての女が寄ってきてしまうという意味で、それが「足かせ」になると考えている。彼らは社会的地位や年収といった条件を差し引いた「素の自分」「何も持たない自分」を愛してほしいのである。

 努力してより魅力的になり、愛を得ようとするのは、「自分好き」女性にありがちな行動だが、「自分好き」男性は「そのまんまの自分」を受け入れてくれることを望み、その際に金に固執する女は、絶対にNGであるらしい。

 たかじんの遺言どおり、遺産は大阪市に寄付することになりそうで、ネットでは「遺産を寄付するということは、やはり金目当てではない」と擁護する男性の意見も聞こえた。しかし、お言葉ではあるが、夫人はたかじんの死後、肖像権などを管理する事務所を立ち上げており、肖像権はもちろん、印税などの定期的収入が見込まれる。たかじん絡みの収入がないわけではないのだ。

 断っておくが、私は夫人が「金目当て」だと批判したいのではない。妻であり、それだけの介護を担った人が、遺産をもらうのは当然であり、金をもらうことが不純とする考え方の方が、よっぽどおかしいと思っている。

 売れてきた男性のお笑い芸人は、よくバラエティ番組で「月収はいくらか」という話をするが、女芸人だけの番組では「いくら稼いでいるか」といった金の話題が出ることはほとんどない。これはつまり、男は女より「自分がいかに稼いでるか」に固執し、自慢したいと思っているということである。にもかかわらず、自分の懐具合を探ってくるような女が大嫌いというのは、大きく矛盾しているようにしか思えない。

 自分の数倍稼ぐ男性に惹かれた女性は、「私、あなたの仕事のことをよく知らないので」と言おう。そして、交際中は間違っても年収の話をしたり、高価なものをねだってはならない。男というのは、女が思う以上に「自分好き」であり、「純粋な」女が好きだからだ。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2015/02/10 17:25
アクセスランキング

今週のTLコミックベスト5

  1. 塩対応な私の旦那様はハイスペックな幼馴染!?~トロトロに甘やかされて開発される体~
  2. 交際ゼロ日で嫁いだ先は年収5千万円のスパダリ農家~20歳、処女を弄ぶ優しい指先~
  3. お花屋さんは元ヤクザ~閉店後の店内で甘く蕩ける~
  4. 体育会系幼馴染は世界一の溺愛男子~全人類の好感度がある日見えたリケジョの私~
  5. 淫魔上司は不器用な溺愛男子~インキュバスが魅せる激甘淫夢は人外の快感~
提供:ラブチュコラ
オススメ記事
サイゾーウーマンとは
会社概要
個人情報保護方針
採用情報
月別記事一覧
著者一覧
記事・広告へのお問い合わせ
プレスリリース掲載について
株式会社サイゾー運営サイト