[女性誌速攻レビュー]「美ST」5月号

言葉選びにより強迫観念が積もっていく、「美ST」の“輝かなきゃ病”

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「美ST」2012年5月号(光文社)

 今月の「美ST」は、春の新商品発売時期のためか、純粋なコスメレポートが多めです。特集1の「欲しいのは『幸せの白い肌』」では、トビラページこそサングラスに手袋、日傘と大げさに完全防備した西部警察みたいな美魔女が登場しますが、中のページではホワイトニング化粧品の使用レポートや美容医療でのシミ取りレポート、日焼け止めや下地の紹介など、まじめなコスメ情報が満載。コスメフリークにはたまらない内容となっています。

<トピック>
◎特集1「欲しいのは『幸せの白い肌』」
◎特集2「短期決戦!必ずできる“二のやせ”マジック!」
◎賢い女は「5つの顔」を持ってる

■自称“太くなった”hitomiのグラビアです

 特集2は、「短期決戦! 必ずできる“二のやせ”マジック!」。腕や尻、腹といったパーツの下についてしまう余計なハミ肉を「二の○○」と呼び、「二の腕」「二の尻」「二のアゴ」「二の背中」などを落とす方法を紹介しています。冒頭には、hitomi(36歳)が登場。「32歳で出産を経験し、その後、見事に肉のつき方が変わりましたね。お腹まわりや背中、太ももあたりにしっかりお肉がついてしまいました」と語りながらも、十分細いボディを披露しています。産後はヨガで「自分と向き合いながら、リラックスして体と対話」をしているそうです。

 学生のころはあまりに脚が細いため「マッチ棒」と呼ばれ、コンプレックスを感じていたというhitomi。太ももはそのころより10センチは太くなったと明かしつつ、「だけど、出産、子育てを経験した体のラインは、女性らしくモデルチェンジして、決して嫌いじゃないです。逆に、肉づきが良くなった体をどう活かそうか考えるのが楽しいです」と、結論としては同世代ママに希望を与えるコメントをしています。

 とはいえ、しつこいようですが現在も十分細いんですよ。逆に言えば、かつて「マッチ棒」と称されるほど超極細だったという印象もないんですよね……。よくも悪くもhitomiの体型はこんなものでは? あ、そうそう、そういえば妊婦ヌードになってましたよね。確か神田うのみたいな半端な偽ヌードじゃなくて、モロ出しだったような。せっかくスッポンポンになってくれていたのに、薄ぼんやりとしかhitomi像を結べなくて誠に申し訳ない限りです。

 しかし、本業はなんだったのかもはやよくわからない状態になっても、出産を経験してさらに美しい容姿を維持しているタレントは強いですね。hitomiを見ると、そうつくづく思います。芸がなくても、「出産」というネタ1本で活動できるわけです。hitomiは、ベビーウェアのディレクションもしているそうです! と考えると、「ママになっても美しく」といった女性誌によくある押し付けがましい価値観は、そこに登場する芸能人のオブセッションなんじゃないかと思ってしまいます。出産後も美しくいられるかどうかは、彼女たちにとってみれば存在意義を迫られる深刻な問題です。

 もともと十人並みの容姿でしかなかった一般人が産後も産前と同じように、いやそれ以上に美しくなろうとすると、多くの犠牲を強いられることは明らかです。もともとが“十人並み”なのに、その上、子育てに意識も体力も時間もカネもとられるんですから。マイナス100くらいからのスタートです。それなら、hitomiが言うように「肉づきが良くなった体」を活かす方向で考えたほうが効率的かも。“肉づき”のレベルがhitomiと何倍も違うわけですが、それはもともとの差だから仕方ありません。……と、hitomiの肉見て我が肉あきらめた、逆効果企画でした。

■芸能人でもないのに自己プロデュースする必要あるの?

 前述のように、女性誌を読んでいると自分の現実を見失って無謀な夢を追いかけそうになることがたまにあります。“これは虚構の世界だ”と自分に言い聞かせていても、しんしんと静かに降り積もる雪のように、なにげない文章やコピーが知らず知らずのうちに心の中にたまって強迫観念めいたものを形成し、心に重くのしかかっていることがある気がします。その象徴的な企画としてご紹介したいのが、「賢い女は『5つの顔』を持ってる」というページです。

 “素敵な女性は自己プロデュースできる女性”であるという主旨で、君島十和子を例に「素の顔、仕事の顔、美のカリスマの顔、母の顔、妻の顔」と5パターン、それぞれどんなメイクをしているかを紹介しています。また、読者の代表として、「先生の顔、女性の顔、女子の顔、講師の顔、体育会系の顔」を持つライフスタイルコーディネーター、「夜の顔、母の顔、20代(の友人と遊ぶとき)の顔、秘書の顔、韓流の顔」を持つ会長秘書の例も掲載しています。

 平たく言えばなんのことはない、“仕事と遊び、それぞれTPOに応じてメイクを変えましょう”という企画なんです。“仕事の場では色みを抑えて……”とか、一般的なマナーの話ですよ、マナー。そういった企画ならば恐らく読み飛ばしていたかもしれません。しかし、それを「自己プロデュース」と呼んで「5つの顔」に分類し、それらを使い分けることが「賢い女」としている点に、えも言われぬ疲労感がどっとわいてきました。そうかそうか、キラキラと輝くステキな女性は、仕事、趣味、妻、母、プラスα、たくさんの顔と生き方を持ってるのね。すべてに全力投球してエンジョイしてるのね。それが常識なのね。そんな気持ちになっちゃったんです。美しくなるには、単にメイク法を見直すだけじゃダメで、生き方そのものを見直さないとならないとは! さあアナタもがんばって、がんばって、がんばって、がんばって、がんばって。5つ並んだ美魔女の顔に5回励まされた気がして、ぐったりとなりました。

 今月はそのほか、「美魔女スカウトキャラバン 東北・九州編」もみどころです。「元気になった東北&ニッポンの美魔女を探す旅」に出かけたとのことで、各地の美魔女のスナップを掲載しています。コメントには「健康が一番の美容法でがんす」とか「腹筋が縦に割れてるっちゃ!」とか、わざとらしいくらいにお国言葉が使われています。「美ST」って方言が好きですよね。それだけ美魔女が日本全国に数多く存在するということで、ここでもまた「がんばって」と励まされる次第です。
(亀井百合子)

「美ST」

最近、おふざけが弱いような?

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