[連載]おばさんになれば"なるほど"

「必要とされる私」の関係妄想――ペット命な中年女性の心に潜む“望み”とは

少女から女性へ、そしておばさんへ――全ての女はおばさんになる。しかし、“おばさん”は女性からも社会からも揶揄的な視線を向けられる存在でもある。地方都市に普通に生きる“おばさん”の多様な姿を大野左紀子が探っていく。第4回は「ペット命な中年女性」。

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 今や子どもの数より、ペットの数の方が多いと言われる日本。犬だけを見ても、バブル期以降、さまざまな犬種が流行のブランドのごとく持てはやされてきました。ブームの陰で、無責任な飼い主のペット遺棄や増え続ける殺処分が問題になる一方、癒やし効果がアニマルセラピーとして医療の場で注目されていたりもします。かく言う私も今、二代目の柴犬を飼っております。

 持ち家率の高い地方都市では、特に犬を飼う人が多いのでしょうか。私の住む愛知県尾張地方では、朝夕の犬の散歩で何人もの飼い主とペットに出会います。一番多いのが中高年の女性、次が中高年の男性。家族の中でも父親と子どもたちは仕事や学校で忙しく、必然的に、専業主婦か仕事がパートのお母さん、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんがペットの世話係となるのでしょう。

 子どもたちが犬を飼いたいと言い出し、「ちゃんと世話はできるの?」「できる!」ということで可愛いワンコを家族に迎えたが、子どもが毎日餌をやり散歩をしたのは最初の1年足らずで、成犬になったワンコの面倒は次第に母親に押し付けられがちになり、そのほかの家族は気の向いた時に構うだけ……というパターンは、ありそうです。

 動物病院へ行くと、やはり中高年の女性が目立ちます。人間に年季が入っているなら、その犬や猫もそこそこ老齢で、お互いあちこちガタの来る年代。どちらも、時々病院のお世話にならないといけない年頃。そういう者同士がひっそり寄り添っている感じが、何とも味わい深い雰囲気を醸し出しています。

 私自身が典型的な例なのですが、中年も半ばを過ぎてからますます犬や猫が好きになる、愛でたくなるのではないかと思われます。その理由は3つ。

 1つは、こちらを全面的に頼りにしてくれるところです。ペットはどこまでも無力。人間が世話してあげなくては生きていけない点が、この上なく庇護欲をそそります。子どもはもう大きくて世話を焼こうにも焼かしてくれないけれども、ペットがいれば「必要とされる私」を十二分に実感できそうです。しかも、「抱きしめられる」というところが最高です。愛情を込めてギュッと抱きしめられる対象が身近にいるのは、幾つになってもとても幸せなこと。子どもにそんなことしても鬱陶しがられますし、犬や猫の方がフワフワして抱きごこちが良い。キスまでさせてくれる。こんな相手はほかにはいません。抱きしめ返してくれないところは玉に傷ですが。

おばさんになって染み入るペットの尊さよ、

しぃちゃん

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