『官能教育』著者インタビュー

「家庭を壊さずに不倫できる社会に変わっていく」、植島啓司氏が語る愛の変遷

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■人が必ず持っている不倫願望

――『官能教育』では、「結婚制度は7年で見直すべき」というドイツキリスト教民主同盟の議員の選挙公約を例に、「結婚生活は続くもの」という考えこそが幻想かもしれないと指摘されていますね。

植島 結婚という愛の形と、恋愛はまったく違う。結婚は、恋愛と同じような状況でずっと続いていくわけではなく、維持するためには努力がいる。それとは別に、愛が“発火する”のを求める気持ちは誰にでもあるはずです。

――「不倫」と聞くと肉体的な結びつきを思い浮かべて否定的になる人も多いのですが、フラートのようなときめきを無意識に求めている人は多いはず。

植島 願望がどういう形で出るかは人それぞれで、夫を騙してまで……という人もいれば、仕事で出会ったお客さんと仲良くなっただけで発散される人もいる。グラデーションはあるでしょうけど、願望は生きている限りはなくならないと思いますよ。

――既婚女性向けの雑誌を見ていると、「素敵な男の子がバイトしている花屋へ」など、欲望が前面に出ないようにうまく織り込まれていると思います。

植島 矢口真里さんの件もそうですが、不倫した人への攻撃はマスコミの常套手段で、一般的な意見ではないはず。多くの人が、現状に不満を持ち、素敵な人が現れないかなと思っている。もちろん表立っては言えないので、その欲望は抑圧されているのですが、そんなときにうまいこと楽しんでいる人がいれば、すごく腹が立つわけです(笑)。そういった嫉妬する人に、マスコミが応えようとしているだけ。世間も、芸能人の不倫はある程度仕方がないと思っているはずですよ。

――とはいえ、大手ネット掲示板では、不倫・浮気した人は犯罪者のように罵詈雑言を投げつけられています。

植島 ネットは論外ですが、それでも、時代は不倫を容認する方向に流れていると思っています。1960~70年代にはフェミニズムや中ピ連(中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合)といった、男女の自由な結びつきを求める運動が起こったのですが、僕はそれが今停滞しているという印象は持っていない。これから「不倫」という言葉が特別な言葉じゃなくなっていくと思ってます。昔は「姦通」というひどい言葉があったけど、なくなりました。90年代は「不倫」がもっとライトに、カタカナの「フリン」になるような機運があったのですが、2000年代に入って不況に陥り、震災が発生。先行きが見えないので、世の中が保守化していますが、一時的な現象だと思っています。

――今後、不倫や浮気に寛容な社会になっていくとすれば、それを受け入れられずに心身共に傷つく人も増えてくると思いますが……。

植島 女性は長年それに苦しめられてきたから、自由度があり、理解しやすいんでしょうけど……男は理解ができない状態のまま時代が移っているから悩むでしょうね。でもそれは悩むべきであって、時代が変わっていく――つまり男女の間で差がなくなってきていることに対して、きちんと学ぶべきだと思います。

――パートナーや夫という「1番」がいた上で、「2番」「3番」を作る状態が好ましいと本に書かれていましたが、欲深い人はすべてを同じように愛したいし愛されたいと思うのでは?

植島 それは過渡的な状態です。家庭やパートナーとの関係を壊さないで、そういった関係を築ける社会というのが、僕らが目指している社会であって、それは可能だと思ってます。ただ、経験不足だからトラブルは起こってしまうけれど。

 60年代から70年代にかけて、豊かな愛の体験ができるような社会が近い将来に来るとみんなが思っていたんです。いま一頓挫していますが、昔に戻っていくわけではない。市民がイニシアティブを取って、一夫一婦制や男女の平等という概念が生まれたのが、わずか150年前。まだ実験中で、一夫一婦制が正しいか、まだ全然わかってない。だからこそ、社会はこうあるべきだというヴィジョンを出すべきなんですよ。頭は時代についていけないからこそ、みんなで未来を議論すべきだと思います。

植島啓司(うえしま・けいじ)
1947年、東京都生まれ。宗教人類学者。東京大学大学院人文科学研究科(宗教学)博士課程修了後、シカゴ大学大学院に留学、M・エリアーデに師事。関西大学教授、人間総合科学大学教授などを歴任。著書に『生きるチカラ』(集英社新書)、『性愛奥義』(講談社現代新書)、『39歳』(メディアファクトリー)など

「愛は続くもの」という固定概念を外すのが一番大変

しぃちゃん



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