『女子と就活』刊行記念座談会(後編)

「女性にとって期限があるのは出産だけ」白河桃子が伝えたい唯一の「後悔」

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『女子と就活』/中央公論新社

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――白河さんからご覧になって、今の20代の女性はいかがですか?

白河さん(以下、白河) 現実的ですよね。私は30代の婚活中の人をいっぱい見ていますが、それと比べると、本当に現実的。

福島さん(以下、福島) 私と同年代の今大学生って、大人に「大変だよ、大変だよ」って脅されて育ってきているんですよ。ぼんやりしていたら、幸せになれないって刷り込まれているんですよね。それで疲れてしまうこともあります。

白河 それもまた不幸ですよね。私はバブル世代なので、危機感みたいなのが薄いと思います。10歳くらい年下の奥さんに、「白河さんのところはバブル夫婦なんだから、ちゃんと貯金しないとダメですよ」って言われたりするんですよ。皆さんは生まれてからずっと不況ですものね。でも、ご両親はバブル世代ですよね。

福島 はい。基本的に呑気(笑)。でも、「僕たちみたいじゃいけないよ」って言われます。

林さん(以下、林) そうそう、「私たちの時はこうだったけど、あなたの時代は厳しいから」って。

白河 バブル世代に脅されているんだ。でも、今って悪い時代じゃないんですよ。昔の女性みたいに結婚を強要されることもないし、子どもを産む機械扱いされることもないし、女性がある程度働ければ、何でもありな世界なんです。今までの日本人は、人生の選択なんてなかったでしょう? 大学出たら会社に入って、企業のパーツになって、女の人は会社の中で誰か相手を見つけて結婚して辞めて、そこから外れると「負け犬」と言われて揶揄されたりしたんですけど、今はもう何もないですよ。「そうならなきゃいけない」みたいな幻が残ってるだけで。

小貫さん(以下、小貫) 確かに日本人は、人目を気にしすぎて、「○○でなきゃいけない」と思いがちな気がします。

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白河 でも、あんまり自由すぎると人間はかえって迷ってしまうので、真剣に子どもがほしい人は、子どもを産める年齢を1つの指標にしたらいいと思う。そこから逆算していくと、案外時間がない。そうしたら、仕事を続けながら一緒にやっていける男性がいいとなって、男の人の理想も変わるんです。夢の王子様を待たなくなります。

 王子様はどうしても待っちゃいますけどね……。

小貫 私は、できちゃった結婚を否定しないんです。元気なうちに産んで仕事に戻ることを考えたら、若い方がいいと思うんですが、どうでしょうか?

白河 うん、一挙両得よね。いいと思いますよ。

 私は抵抗あります。親にもでき婚だけはするなって言われてますし。子どもは結婚した後に、計画的に30代前半で1人だけほしいです。その子に、お金と愛情のすべてを注ぎたいんです。

小貫 私は、20代から30代にかけて、3人は産みますよ。だって、2人の人間から1人か2人しか子どもが生まれなかったから、人口が減っちゃいますよね。日本の社会が縮小してしまうじゃないですか。

 すごい! 日本社会のことまで考えてるんだ(笑)。

福島 私は愛に任せてかな。愛していたら、子どもができるだろうし。好きじゃない人の子どもなら産んでも意味がないし。もしそれで子どもができたら、出産後も総合職として、仕事を続けられるような会社に入れたらいいんですけどね。

白河 今、国も出産した女性に働いてほしいんですけど、制度が追いついてないんですね。子どもを産んでもバリバリ働きたい女性に対処しようとしているんですけど、私はもう一段階進んで、バリバリ働きたい時期もあるし、バリバリは働きたくない時期、例えば子育ての時期とか時に、どう柔軟に対処すればいいのかを考えています。普通の人が9時から17時まで働けて、普通に生きていける、子育てできるし、お給料をもらえる。そんな働き方はないものだろうかと。

 日本人は長い時間だらだら労働しているんですよ。以前、企業人事座談会で「女性が出世しないのは、会社にいる時間が短いから」と言われました。1人の人材を一人前にするのには、10年かかると言われていますが、それでは遅すぎます。夫の転勤や出産など、女性は仕事を失いやすいですから、早く専門性を身につけることが大切。逆に言うと、3年くらいでしっかり仕込んでくれる厳しい会社を選ぶというのも手ではあります。

――白河さんがこれからの若い世代の女性に望むことは、何ですか?

白河 本の中で触れていますが、今は高学歴の女性が、総合職より一般職を選ぶという現象も起きています。今の企業社会では、女性性との両立が難しいので、有名大学を出た人が一般職になって、ワークバランスを保って子どもを産んでと思うのは、処世術としてしょうがないと思っています。だけど、子育てが終わったら出世してほしいです。

 政治を見ていて、男だらけの真っ黒な集団が国を動かしていていいわけはないと思うんです。女性の持つ危機感とか、女性は生命に対して敏感な生き物ですから、そういう人がもっと重要な決定の場にいないと、大変なことになりそうな気がします。子育ては一時期なので、子育て後にニートにならないでほしいですね。みんながなる必要はないですけれど、能力のある人には、出世してほしい。その場に3割異質な人がいるだけで変わるんです。男みたいな女性がいても、ダメなんです。男社会の異物としての女性が必要。世の中の半分は女性ですから、女性が決定の責任を担うというのは、世の中の安全のためにはすごく必要なことです。特に大震災以来、その思いを強くしています。……ごめんね、こんな大変な時代なのに仕事をして産んで、その上、出世しろとか無理難題押しつけて。

 いえいえ。白河さんの話を聞いて、私は働くということに対して、「成功」とか「こうあるべき」という言葉にとらわれているところがあったのかもしれないと思いました。でもこれからは、もうちょっと柔軟に考えていければなぁと。

白河 そうですね。ライフプランにとらわれすぎてはダメなんです。女の人生にはイベントが多いですし、偶発的なイベント、さっき出たように子どもができちゃったとか、転勤のある人を好きになっちゃったとかも含めて、いろんなことがありますから。けれど、1つだけ間違いないのは、女性の意志が大事だということなんですよ。

福島 あの、白河さんは女性の人生を追いかけていらっしゃいますよね。ご自分の人生についてはどう思われていますか?

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白河 私は子どもがいないんですが、子どもを産まなかったということより、子どもを産むための努力をしなかったことを後悔しているんですよ。授かり物だから、努力をしたからといってできるわけではないですけど、そこはやっておくべきだったなと、すごく思っているので、やっぱりそこを一番伝えなきゃいけないと、こういうことをやっているんですね。

小貫 意外です。白河さんは日本にキャリアウーマンを増やしたいのかなぁと思っていました。

白河 実は、恋愛とか結婚とか仕事は、そう年齢に限界はないと思っているんですよ。だた、子どものことだけは生物学的な限界ってあるので、はっきり言って女性にとって重要なのは、そこだけかなって気もするんですよね。そのためには、現代では仕事がないと子育ても厳しいと思います。仕事がベースにあって、その上に結婚とか恋人とか、楽しいことがいろいろ積み重なるイメージですね。日本の場合、仕事を選んだら子育てはなし、子育てを選んだら仕事はなしってなっちゃうんですよ。そうじゃなくて、仕事はベースとして細く長くあってほしい。

福島 就職や結婚のためのハウツー本ではないんですね。子どもを産みたかったら、「子どもを産める年齢」については、まずは今から頭に置いておく、それなら私にもできそうです。

白河 私の書くこと話すことは全部、若い頃の自分に会ったら、ここがポイントだよって言ってあげたいことなんですよ。ここ気をつけてねとか、この辺で年貢を納めた方がいいよ、とか。『女子と就活』を就活後に読んだ人も、「始める前に読めばよかった」と言ってくれますので、ぜひ就活の前に読んでほしいと思います。
(取材・文/仁科友里、撮影/坂本慶介)

【プロフィール】
白河桃子(しらかわ・とうこ)
少子化ジャーナリスト、作家。東京都生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。山田昌弘中央大学教授との共著「『婚活』時代」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が19万部のヒットとなり、「婚活」は2008年度新語・流行語大賞にノミネートされる。近著に、『妊活バイブル』(講談社)がある。
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