【管理栄養士が厳選「ズボラ飯」のススメ】

管理栄養士が、どんぶりが食べたいときは「すき家」とすすめる理由とは?

2023/11/10 20:00
猪坂みなみ(管理栄養士)
すき家の写真
Wikipediaより

 「自炊をするのが面倒くさい……」そんなときの強い味方は、やっぱり外食ですよね。一方で、外食ばかりしていると体に良くないのでは? と心配になることも。しかし、栄養素がしっかり摂れるメニューがあるお店を選べば、外食でも健康的においしい食事を楽しむことが可能です。今回は「○○を食べたいときはこの店!」をテーマに、管理栄養士の猪坂みなみ先生おすすめの外食チェーン店を紹介します。

パスタが食べたいときは「ジョリーパスタ」

――まず前提として、外食をしても、お店やメニュー選びに気を使えば、栄養の偏らない食事をすることは可能でしょうか。また、猪坂先生が外食をされる際、栄養の観点からお店、メニュー選びで気を付けていることはありますか。

猪坂みなみ先生(以下、猪坂) はい、外食だからといって、一概に全てが健康に悪いということはありません。お店やメニューを上手に選べば、きちんと健康を維持しながら食事を楽しむことができますよ!

 外食する際のお店選びのポイントとして、丼や麺、カレーなど単品系メニューがメインのお店の場合は、「サイドディッシュやトッピングのメニューが豊富であるかどうか」をチェックします。例えばラーメン屋さんでも、味玉やキャベツ、海苔などをトッピングで追加できれば、たんぱく質や野菜・海藻類をしっかり補えます。

 メニュー選びで気を付けていることは、主食(ご飯、パン、麺など)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)、副菜(野菜、キノコ、海藻、こんにゃくなど)の3点セットをそろえるということです。定食であれば比較的簡単にそろえられますが、先ほど挙げたような単品系メニューを食べる場合は不足することがあるので、パスタならサラダやスープを足す、カレーならほうれん草やナス、トマトなどをトッピングする、というふうに、足りない栄養をプラスすることでバランスがとれるようにしています。

――それでは、パスタが食べたいときは、どの外食チェーン店がおすすめですか。

猪坂 「ジョリーパスタ」です。ジョリーパスタはパスタだけでなく、サラダや前菜のメニューが豊富なので、パスタを食べるときに不足しがちなたんぱく質と野菜類を、そういったサイドメニューからしっかり補うことができます。メニューには全てカロリー表示がされているので、ダイエット中でカロリ-コントロールしたいという人でも選びやすいですね。

 メニューの中でも一押しは「海の幸のペペロンチーノ」1,089円(税込)。イカ、エビ、ホタテ、ムール貝などがトッピングされたペペロンチーノです。こういった魚介類は脂肪分が少ないため、調理のときに油をたくさん使うパスタを食べる際に合わせるのには、おすすめの食材。ただし、これだけでは野菜が不足するので、「ローストビーフのサラダ」759円(税込)などをプラスして、パスタの前に野菜を食べるようにしてください。

定食が食べたいときは「大戸屋」

――時には定食が食べたくなることもありますよね。その場合、おすすめのお店はどこでしょうか。

猪坂 定食は「大戸屋」ですね。理由は、野菜や海藻類をたっぷり摂れるメニューが豊富だからです。HPには、エネルギーだけでなく塩分やたんぱく質、野菜量なども細かく載っているので、安心してメニューを選ぶことができますね。

 特におすすめしたいメニューは「もろみチキンの彩りサラダボウルとしそひじきご飯定食」960円(税込)です。チキンでたんぱく質を、サラダや汁物で野菜をたっぷり摂ることが可能。1日に摂りたい野菜量(350グラム)の半分近くを補うことができますよ。

 ただし、漬け物や味噌汁、ドレッシング、しそひじきご飯など塩分が多めなので、汁物は具を中心に食べて汁を残す、ドレッシングは少量だけをかける、などの方法で塩分の摂りすぎを避けるようにしてみてください。

肉系のどんぶりが食べたいときは「すき家」

――がっつり肉系のどんぶりが食べたい気分のときは、どのお店がおすすめでしょうか。

猪坂 肉系のどんぶりは「すき家」です。「すき家」は牛丼チェーンの中では、サラダやトッピングなどで野菜や海藻などを摂れるメニューのバリエーションが豊富。中でも「かつぶしオクラ牛丼」並盛550円(税込)が一押しで、オクラのネバネバ効果で血糖値の急上昇を予防することができます。さらにかつおぶしにはうま味成分が豊富に含まれているので、食事に対する満足感も得られやすくなりますよ。

 また、食物繊維を補うため、丼の前にサラダやひじき煮(季節の小鉢)を食べたり、トッピングとしておろしポン酢や青ねぎ、のりなどを追加すると、よりバランスが整います。

中華が食べたいときは「バーミヤン」

――最後に、中華が食べたいときはどこのお店が一押しでしょうか。

猪坂 「バーミヤン」です。中華のチェーン店だと餃子がメインというところも多いですが、「バーミヤン」はそれだけでなくいろいろなメニューをラインナップしているので、栄養バランスを整えやすいです。

 おすすめのメニューは「八宝菜」699円(税込)。ウズラの卵やエビ、イカなどの海鮮、豚肉などさまざまな食材からたんぱく質を摂ることができます。また野菜やキノコも入っているので、ビタミンやミネラル、食物繊維の摂取にも役立つでしょう。中華料理は炒めるときに油をたくさん使う場合が多いですが、「バーミヤン」の八宝菜は脂質の少ない食材を中心に入れているため、エネルギーも288kcalと控えめです。ご飯の量も、小と普通、大盛りから選べるので、自分のお腹の空き具合に合わせて調整できますよ。

食べすぎてしまった翌日でも「食事は抜かない」ほうが良い

――外食をするとついつい食べすぎたり飲み過ぎてしまう日もありますよね。その場合、翌日はどのような食事をするのがよいのか教えてください。

猪坂 揚げ物や脂身の多いお肉、バター、生クリームのような脂質の多いものは避けて、焼き魚や蒸し野菜、具だくさんのおみそ汁などを食べるようにしてみてください。

 そうすると、胃への負担を抑えながら、たんぱく質やビタミン・ミネラルといった必要な栄養を補うことができます。さらに、ご飯やパン、麺などの主食はいつもの3分の2くらいにするなどして、腹八分目を心がけてください。

 ちなみに、前日に食べすぎてしまったときでも、翌日に断食したり極端に食事量を減らしたりするのは避け、バランスよく朝、昼、晩に食べるのがおすすめです。無理に食事を抜くと、後で反動が来てまた食べすぎてしまったり、栄養が不足して代謝がスムーズに進まなくなったりしてしまうからです。

 ただし、食べすぎの影響で食欲がない、胃の調子が悪い、というときもあると思います。そんなときは無理にたくさん食べなくても大丈夫ですが、完全に抜いてしまうと筋肉が減り代謝が落ちる恐れがあるので、低脂質なメニューを選び、可能な範囲で栄養補給してみてください。



猪坂みなみ(管理栄養士)

猪坂みなみ(管理栄養士)

管理栄養士。大学卒業後、大手食品メーカーにて商品企画や研究開発などに従事。ダイエットアドバイザー、料理研究家助手、医療ヘルスケアベンチャー企業の商品企画職等を経て、現在はLINEで気軽に取り組めるパーソナルダイエットプログラム「ダイエットナビ」の運営や、ヘルスケア領域の新規事業開発アドバイザリー、法人向けの健康経営サポート等を行う。

管理栄養士が厳選「ズボラ飯」のススメ

【Diet Solution Lab】

最終更新:2023/11/10 20:00
食べ過ぎた翌日も食事は抜いちゃダメ!