インタビュー

なぜジャニーズファンは、性被害の告発者を誹謗中傷するのか? 臨床心理士が語る“暴走”の理由

2023/08/29 15:30
サイゾーウーマン編集部
ジャニーズ事務所本社の外観の画像
すさまじい二次加害が発生しているジャニー氏性加害問題(C)サイゾーウーマン

 現在、国内外で大きく取り沙汰されているジャニーズ事務所創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に死去)の性加害問題。これまでタレントが語ってきた“ジャニーさん”像とは大きくかけ離れた同氏の性加害者の一面を知り、ジャニーズファンの多くは大きなショックを受けている。また、これまで同氏にそうしたうわさがなかったわけではないだけに、自身が見て見ぬふりをしてきたことを後悔し葛藤したり、応援するタレントの活動にどのような影響が及ぶのかと不安になっているファンもいることだろう。

 そんな中、一部ジャニーズファンが被害を訴える元タレントたちに対し、二次加害を行っていることが大きな問題に。こうしたファンはSNS上で、「カネや売名のため、嘘の告発を行っている」などと被害者を激しく攻撃しており、実際、元タレントが誹謗中傷に苦しめられていると吐露する場面も増えている。

 これまで幾度となく問題視されてきた性被害者への二次加害だが、なぜ一部のファンはこうした行為に走ってしまうのか――今回、神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授である臨床心理士の杉山崇氏に、心理学の観点からその理由について、見解をお聞きした。

ジャニー氏性加害問題、被害者を二次加害するファン心理

 SNSを見ると、ジャニーズ事務所を擁護し、被害者を非難するジャニーズファンが少なからずいる。被害者の告発インタビューと、過去のニュース記事や経歴などを照らし合わせ、「彼らの証言は嘘」と主張。特定の政党と組んで、ジャニーズ事務所を潰そうとしているといった持論を展開し、その怒りの矛先は、ジャニーズ批判をする著名人やマスコミなどにも向けられている。

 こうした被害者への二次加害に走る過激ジャニーズ擁護派のファンは、どのような心理状況にあるのだろう。

「偶像(=アイドル)崇拝に人生を捧げているタイプの人は、アイドルと自分の間に“絆”を感じることの高揚感で、心理的な生きづらさであったり、自分の生き方に対する迷いを緩和している面があるんです。そういう人のことを、私は『絆スタイル』の人と呼んでいて、ジャニーズファンにはこのスタイルを持つ人が相対的に多いのではないでしょうか。この『絆スタイル』の人は、絆を感じる対象を美化するときは徹底的に美化する傾向があり、その対象が所属する事務所=ジャニーズをまだまだ必要としている人が、事務所を擁護し、被害者を非難するという行為に走っているのではないでしょうか(杉山氏、以下同)

 一方、「絆スタイル」の人には、絆を感じる対象が、少しでも自分の理想通りではないと感じると、こき下ろす傾向もあるとのこと。今回のファンの反応を見ていると、「『絆スタイル』の人たちが、事務所を徹底的に批判する/擁護する側のいずれかに分かれている印象を抱いた」そうだ。

「もちろん『絆スタイル』ではないジャニーズファンも存在する。そういうタイプの人が、ジャニーズ批判派/擁護派の間で、困惑しているように見えます」

仲の良かったジャニオタ友達と縁が切れた人もいるのでは……
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