第4話放送前に、前回放送を振り返る!

『silent』SnowMan・目黒蓮、視聴者の心を掴むワケを演技講師が解説! 第3話の「素晴らしいシーン」とは

2022/10/27 19:30
秋草瑠衣子

Snow Man・目黒蓮演じる佐倉が見せた、「思い過ごし」の切なさ

 それはおそらく、「2人で会うのはやめよう」と青葉に伝えることだと思います。なぜ2人で会うのが良くないと思っているのかは、お互いに過去に本当に好きだった相手だし、これからまた好きになってしまうかもしれないし、青羽と湊斗に幸せになってほしい……とか、理由はいろいろあると思います。

 それに対して青羽は「大丈夫だよ、気にしないで、2人もまた仲良くなってほしい」という自分の気持ちを伝えようとしますが、手話を習い始めたばかりでまだうまくないので、携帯の音声認識アプリを使って、文字で伝えることになってしまいます。表情も温度もリズムも音程も感じられない文字で見せられる「好きじゃない」の文字はとても冷たく、私たちの目にも響きましたね~。

 ここで、佐倉の「そのシーンでの役の目的」(=2人で会うのやめようと伝えること)、つまり佐倉の心配は、ただの思い過ごしであるという現実が突きつけられるのです。登場人物の目的が達成されにくいとき、視聴者はドキドキしたり、達成されると喜んだり、達成されなければ悲しんだりするのですが、今回の場合は「達成されたけれど、そもそもその目的は必要なかった」という期待の根本の“裏切り”があるわけなのです。こんな切ないことはございません……。

 その後「わかった、考えすぎだった。また連絡するね」と手話をしたときの佐倉の表情、目黒さん上手でしたね。がんばって笑顔になろうと思うんだけどうまく笑えない、でも目は優しいままで悲しそう、という表情。そのアクションをまた川口さんが丁寧にキャッチして、静かに涙を流す……というきれいなリアクションで締めた見事なシーンでした。

 登場人物が周囲に思いやりを持っているからこそ数々のすれ違いや切なさが生じている『silent』。ハンカチを片手に、これからの展開にも期待したいですね!

秋草瑠衣子(あきくさ・るいこ)
元宝塚歌劇団男役。フリーの演出家・俳優。2017年文化庁新進芸術家海外研修制度に選出され、パリにて演劇教育についての研修に励む。エイベックス・アーティストアカデミーシアター総合コースディレクター。
公式サイト https://www.ruikoakikusa.com/

最終更新:2022/10/29 22:12
フジテレビ系ドラマ 「silent」 オリジナルサウンドトラック(仮)
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